台風による河川の氾濫と決壊
10月12日、日本列島を襲った台風19号の特徴は「河川の氾濫と決壊」である。河川決壊は68河川125カ所、氾濫がのべ262河川におよんだ。
まず考えさせられたのは河川の浚渫の重要性である。僕が鏡村で営む畑には川の堰から用水路で水を引いているが、雨のたびに大量の砂が用水路に流れ込む。そのため日常的に土砂の取り除きをしている。用水路でこれだけの土砂が流れ込むのだったら、本流でどれだけの土砂が上流から流れ込んでいるか考えさせられる。
河川を維持するためには常に河床の浚渫が不可欠なのである。にもかかわらず日本の河川行政はダム建設ばかりが重視されてきた。台風19号による河川の氾濫と決壊の状況を映像で見ると、どうしても住宅地や田畑の方が河川の水位より低いという実態がある。上流から流れ込む土砂によって河床がどんどん高くなっているのである。河川の浚渫を日常的に行っていれば防ぐことができたのでないかと思わされた。
もう一つは、堤防の問題である。高知市を流れる鏡川は南側の堤防が北側より低く設計されている。江戸時代からの慣行で洪水時には城下町を守るため南側の田畑に水が流れることになっている。このことは誰もが知っているのだが、今では鏡川の南側には住宅街が展開されている。ひとたび水害となった時、南側だけが犠牲になっていいのかという問題が起きている。喫緊の課題は南北の堤防の高さを同じにすべきだと考えざるを得ない。
このことは高知市だけではない。東京都を流れる荒川の堤防も氾濫時には東側が犠牲になるよう設計されているし、多くの城下町でも同じような状況であることが今回分かった。
これからの河川の問題は浚渫と左岸右岸の堤防の高さを等しくすることが求められるという問題を提起したい。11月の高知市長選挙の候補者に訴えていきたい。