父親はそのむかし、青年海外協力隊の事務局長として心血を注いだ時期があった。その中で考えたことを一冊の本にした。とうの昔に絶版になっている が、協力隊の派遣研修の中でまだこの本が使われていることを知って嬉しかった。長男が大学生のころ、この本をスキャンしてテキスト化するアルバイトをさせたことがある。もう一度、精査してkindle booksの一冊として上梓することができた。このことを報告したい。青年海外協力隊のいのちは実践にある。異民族社会のなかに、多くのばあいただ一人で飛び込むという実践活動は、たしかに若者を逞しうする。しかしそれだけ にとどまらない。大多数がまだ本人自身意識していないであろうが、文明をその原点から考える心の素地が、実は2年の実践のなかでできあがっているのであ り、青年海外協力隊が日本の進路のうえで持つ最奥最深の意義は、まさにここにあると信ずるのである。