機関誌「国際平和」2013秋季号の巻頭言

 アメリカはまた戦争を仕掛けるのか。8月、シリアが自国民に対して化学兵器を使用したという疑いが浮上し、アメリカはサダト大統領に対して懲罰的攻撃をすると予告した時、多くの人々は約10年前のイラク戦争を思い出したに違いない。フセイン政権が大量破壊兵器を保持していることを理由に戦争を仕掛けたのだった。
 当時、ロシアは反対したが、アメリカを止めることはできなかった。今回は様相が違った。プーチン大統領が化学兵器の調査を引き替えにアメリカの意図を阻止した。大英断だったと思う。
 ソビエト連邦崩壊以降、約20年間、アメリカの一国支配続いた。自由と民主主義の守り手だと信じていたアメリカはいつから戦争国家になったのか。政治に正義が必要なのはだれもが分かっている。しかし、過去の歴史をひもとくとほとんどの戦争が正義の名のもとに行われていることが分かる。
 国によってその正義の定義が異なれば、戦争は正義と正義の闘いになる。戦争となれば、結局、強い国家が勝つ。そして、負けた方に恨みだけが残る。戦争が繰り返された理由は単純である。
 そうなると、戦争をなくすためには「正義を振りかざさない」ことが必要になる。
 いま必要なのは「テロとの戦い」という正義のスローガンではない。戦争で傷つくのは兵士であり、市民である。アメリカで戦争を煽っているのは、兵士でも市民でもない。心地よく空調の効いたオフィスに椅子を構える人たちである。あのアメリカがアフガン攻撃を攻撃したとき、イタリア人ジャーナリスト、ティツィアーノ・テルツァーニは『反戦の手紙』(WAVE出版)を出版し、欧米の主要ジャーナリズムを批判してプレスルームや新聞社の本社で記事を書いていたのでは戦争の本当の姿がみえないと書いた。

伴武澄 について

新聞記者を定年退職後、高知市へ帰り、旧鏡村でシイタケとクレソンを栽培しながら、はりまや橋商店街で毎週金曜日に露天を商い、その夜に「夜学会」を開催するスーパーおじいさん。
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