5月25日、ドイツでの太陽光発電が22ギガワットに達し、同国での昼間のピークの半分を発電したのだそうだ。驚くべきニュースだ。東京新聞が5月29日夕刊で報じたことを某ブログで知った。Googleで検索すると時事通信が26日のロイター電を翻訳して28日に流していた。
 もちろん瞬間風速値であるから、同国の電力使用量の半分を賄ったということではないが、ロイター電によると、ドイツの再生可能エネルギー関連シンクタンク、国際経済フォーラム再生可能エネルギー(IWR、本部ミュンスター)のディレクター、ノルベルト・アルノホ所長は「先進工業国の一つが平日(25日)に電力需要の3分の1、工場やオフィスが休みの土曜(26日)には半分近くを太陽光発電で賄えることが示された」と話しているという。
 右のグラフはいささか古いが各国の太陽光発電の能力の推移を示したもの。2009年で10ギガワットに達し、その後も太陽光発電の設置スピードを加速させている。二番目がスペインで三番目が日本のグラフだ。重要なのはドイツは「ドイツの太陽光発電装置の能力は11年に7.5GW増え、さらに12年第1四半期(1~3月)に1.8GW拡大して、合計26GWとなった」ということである。15カ月で原発9基分の発電装置を増強しているのだ。日本は福島原発事故からちょうそ15カ月経つがどれほど再生可能エネルギーが増強されているのだろうか?
 また日本の他のメディアはどうなっているのだろうかという疑問を持たざるを得ない。日本社会がガラパゴス化していると多くの識者が指摘してきたが、海外で起きている電気通信やエネルギー技術の変化がほとんど伝えられて来なかったメディアの責任は大きい。また、海外に住む多くのビジネスマンや官僚たちにセンサーが欠如しているのか、本社や本省にそうした報告がなされたということも聞かない。

【参考】
22 Gigawatts of Solar in Germany on May 25
A new world record
Eric Wesoff: May 29, 2012
/http://www.greentechmedia.com/articles/read/22-Gigawatts-of-Solar-in-Germany-on-May-25/
ニュースリリース(ドイツ語)
http://www.renewable-energy-industry.com/business/press-releases/newsdetail.php?changeLang=de_DE&newsid=4168/

太陽光で原発20基分 ドイツ 過去最高2200万キロワット発電
2012年5月30日 東京新聞夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012053002000226.html
 【ベルリン=弓削雅人】ドイツの太陽光発電能力が、五月二十五、二十六日に原発二十基分に相当する過去最高の二千二百万キロワットに達したことが、同国の再生可能エネルギー研究所(IWR)の調べで分かった。好天の影響だが、同研究所のアルノッホ所長は「過去にこれほどの太陽光発電をした国はない」と指摘している。欧米メディアが伝えた。
 同所長は、工場やオフィスが稼働した平日(二十五日)で電力需要の三分の一を、休みの土曜(二十六日)では、ほぼ半分を太陽光発電で賄えることが実証されたと強調した。エネルギー業界の調査では、同国の昨年の発電量に占める太陽光の割合は約3%。
 ドイツは、東京電力福島第一原発事故を受け、二〇二二年までに国内十七基の原発を全廃する脱原発政策を決定。再生エネの電力比率も、現在の約20%から二〇二〇年に35%まで引き上げる計画だ。太陽光発電の能力も昨年までの二年間で約千五百万キロワット増強し、計二千五百万キロワットとしている。
 ただ、太陽光発電は従来の電力買い取り制度が、安価な中国製発電パネルに対抗する競争力向上を妨げている上、電力価格の上昇につながるとの指摘が政府内で噴出。メルケル首相は三月、太陽光発電への補助の大幅削減を連邦議会(下院)で可決させた。しかし、連邦参議院(上院)は、太陽光発電メーカーの破綻を招き、エネルギー転換が進まなくなるとの立場から削減を承認していない。