オランダから来たちょっといい話
JMMという村上龍さんが主宰しているメルマガがある。あまりにも分量が多いので最近はあまり読んでいなかったが、2週間ほど前に『オランダ・ハーグより』(春具)が「利己的無私のススメ」という面白いコラムを書いている。親友の一人も読んでいて酒のさかなに「いい話だよな」となった。冒頭部分を紹介したい。
————————————————————
「利己的無私のススメ」
こういう話を聞きました。
ケヴィン・サルウェン Kevin Salwen というジャーナリスト・実業家がある日、ともだちの家へ「お泊り」に行っていた娘のハンナ(当時14歳)を迎えに行き、自動車に乗せて自宅へ帰る。途中、ふたりの乗る自動車は赤信号で止まるのですが、交差点のむこうには黒塗りのメルセデスベンツ・クーペのオープンカーが止まっていて、ホームレスが運転手に向かって手を差し出していた。
交差点でそれを見ていたハンナは運転席のサルウェン氏にむかい「おとうさん、もしあのベンツの人がもうちょっと地味な自動車に乗っていたら、あのホームレスの人に物乞いされることはなかったんじゃないかしら」と小声で言うのです。
信号が変わってふたりの車は走り出し、ベンツもホームレスを残して反対方向へと走り去る。
だが、帰宅したハンナは今見たばかりの光景が忘れられないでいるのです。あれが不平等というものだ、格差というものだ、テレビや学校で聞い てはいたけれど不平等の現実を目の前でみたハンナは、こいつは不条理だわ、どうにかしなくちゃいけないな、どうすればいいのだろう、と考え始めたのです。
家族の夕餉の席で、わたしたちはなにかしなければいけないのよ、と両親と弟にむかってハンナは議論を始める。「だったら、あなたはいったいどうしたらいいと思うの?」、母親が聞く、「この家を売ればいいとでも言うの?」
お母さんは笑いながら軽い気持ちで言ったのでしたが、ハンナの顔はぱっと輝き「そうよ、売ればいいのよ。こんなに大きい家に住んでいる必要はないのよ」と反応した。
この家はわたしたちには大きすぎるじゃない。この家を売って小さいうちに移って、余ったお金をあのホームレスたちのために使えばいいのよ。
————————————————-
話の結末はどうなったのでしょうか。続きは以下から読んで下さい。
http://gensizin2.seesaa.net/article/139684328.html