ダイヤモンド社の友だちの大木由美子さんが社内ベンチャーで「メンターダイヤモンド」を立ち上げた。主に学生向けのサイトで、20代のリーダーマインドを養成するのが目的。
 元商船三井会長で郵政公社初代総裁の生田正治氏をインタビュアラーに経営者の言葉を引き出す「グレートメンター」と、経営者と学生の生の出会いの場をつくる「学生記者クラブ」がサイトの両輪である。発想が実にユニークで興味もあったので夏から暇を見つけて「メンター」に出入りしている。
 グレートメンターでは奥田碩前トヨタ自動車会長、孫正義ソフトバンク社長、瀬戸雄三元アサヒビール会長、井上礼之ダイキン会長とそうそうたる経営者のインタビューをすでに終えている。
 学生記者クラブは、東京在住の大学生約10名が参加し、春から月1回の例会を続け、自ら人生の滋養となる「言葉」を求めて活動を開始し、9月からはそれぞれの体験にもとづくブログも始めた。これがけっこうおもしろい。
 たまたまなのかもしれない。メンターダイヤモンドに参加する学生と接して思うことは、みなしっかり自分の考えを持っているということである。人生を前向きに模索しようと生きる若者と過ごす時間は筆者にとってもえ難い経験なのである。(伴 武澄)

 以下、最近のメンターダイヤモンドの井上礼之ダイキン会長の「異質を是とする」というインタビュー記事です。

 生田正治-井上さんは、多種多様な社員に各々チャンスを与えながら適材適所を考えて才能を引き出していくという、いわばダイバーシティマネジメントを実践されてこられたのではないかと思います。井上流ダイバーシティマネジメントについての考えをお聞かせ願えませんでしょうか。
 井上礼之-ダイバーシティマネジメントというのは、2種類あると思っています。
1つは、年齢や性別、国籍、身体に障害があるかなど異質な人たちをどうマネジメントしていくかということ.
もう1つは、昔と違って同じ日本人でも働く価値観が多様化している。その人たちをいかにマネジメントしていくかという問題です。
 生田-大事な指摘ですね。国籍や性別など、一見して違う人たちに対しては、関心がいきやすいですが、そうではなく「同質」のはずだった日本人そのものも多様化している。それらを踏まえたうえで、マネジメントしていくことが企業力につながる。
 井上-はい。私は日頃から、同じ色の絵具は混ぜても同じ色にしかならない。いろんな色の絵具を混ぜることにより、飛んでもない色が出てくる可能性があるということを言っております。
 生田-そうそう、企業としては、その飛んでもない色こそがイノベーションの起爆剤になる。同質なものと同質なものがぶつかり合っても、同質なものしか出てこないのだけども、異質なもの同士がぶつかり合うことによって、第三の新しいものが創出されると思います。ダイバーシティマネジメントが重視され始めた背景には、急速な経営環境の変化がありますね。
 井上-はい。国内市場だけ見ても、消費者ニーズは多様化していますし、ましてや海外進出した先では、その国の多様なニーズに合わせていかないといけない。そういう経営環境にあっては、ダイバーシティマネジメントをいかにうまくやるかということは、非常に重要な経営の要素だと思います。
 そのためには、たとえば買収した国の社員の多様性を大事にすることから始めないといけないと思っています。いいかえれば価値観も、人種、国籍、年齢、性別も違う人たちの多様性を「是」とするマネジメントをやるということです。
 出る杭を打たないで出る杭を是とする。個性を生かしていくことが大事です。
 生田-社員の個性を大事にし、動機づけて奮い立たせていくということ。それはタレントマネジメントといういい方もできると思いますが、井上さんのお話を聞いていますと、ダイバーシティマネジメントはタレントマネジメントの前段として必要なことがわかります。
 井上-おっしゃるとおりです。タレントマネジメントと申しますと、特別な才能を持った人材を活用することだと思われがちですが、どんな人であろうが他の人のまねのできない才能を少なくとも1つは持っています。それを生かして、どれだけその人の意欲を向上させて企業の戦力をしていくかということが、真のタレントマネジメントの重要なところだと思います。
 生田-次回(PowerWord08)ではそれをどうやって実践されているのか、お話を聞きたいと思います。
 生田正治商船三井元会長による「グレートメンターインタビュー」
 ダイキン工業会長井上礼之氏
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