きのう、テレビニュースで警察がスタントマンを使った警察による後部座席にシートベルト実験が流れた。シートベルトをしないまま、前の車に追突すると後部座席の人がフロントガラスから飛び出すのだ。見ていた人は口々に、シートベルトなしの怖さを語っていた。
 筆者はこれは完全なやらせだと思った。そんなに危険なことだったのなら、30年前に前部でシートベルト装着を義務付けたとき、一緒に後部座席もそうして おけばよかったのだ。いまごろになって、後部座席のシートベルトなしが危険だと強調されてもハイそうですかとは納得されないだろう。
 交通事故はいつだって悲惨なのだ。支局時代、1回だけ交通事故の生の現場を見た。そのときは運転手が座席にはさまれたまま数時間脱出できなかった。シートベルトうんぬんの話ではない。事故で人が飛び出す場合も、閉じ込められる場合もあるのだ。半々だろう。
 シートベルトでくくりつけられて、脱出できなかったら警察はなんとかしてくれるのか。そんなことはない。道路交通法が改正されたら、もうそれでいいのだ。
 今、販売されている乗用車には必ず後部座席にシートベルトがついている。着用するかどうかは個人の判断にまかされている。それで十分だと思うのだ。個人的にはフロントシートの着用義務も「余計なお世話」だと考えている。
 事故が起きた場合、シートベルトを着用しなかったからといって、相手車両の被害に影響はない。自分が死ぬか生きるかなのである。シートベルトをしなかったから助かったという例も知っているから、余計なお世話どころではないのだ。
 そんなことよりも、チャイルド・シートを助手席に装着している車をよくみかける。この方がよっぽどかわいそうなことになる。アメリカでは絶対に子どもを 助手席に座らせない。日本ではみんな乗せている。英語で助手席のことをsuicide seatというのだ。「自殺」でっせ!