5月1日からの首都圏のスタンドの80%がガソリン価格1リットル当たり約30円引き上げ、160円前後にしたのだそうだ。全国石油商業組合連合会の調査である。
 やっぱり。
 この1カ月間、スタンドは”被害者役”に徹した。4月30日まではそう装った。夜が明けるとほくそ笑んだ。多分そうだろうと考えている。値下げが徹底されるのに1週間近くかかったのに、値上げは翌日からだから笑いが止まらないはずだ。
 一つの持論がある。経営者はもうかっているときはだんまりを決め込み、損しそうになると大げさに”悲鳴”を上げる。マスコミはそれをあおる。そんなパターンを何度も見てきた。景気後退局面や円高ではいつもそうだった。
 ガソリン税騒動もそうだった。4月1日からの値下げの時、スタンド業者たちは「高い税率のガソリンでの値下げせざるを得ない。何千万円の損だ」と騒いだ。政府は緊急融資策まで打ち出した。
 ガソリン税騒動はなんだったのか。
 おかげで福田首相の内閣支持率は20%(朝日、読売)まで下がった。共同通信の調査では19%である。福田さんはここまで低下するとは考えなかっただろ う。それでも政府・与党は13日にガソリン税などを08年度から10年間、道路整備に充てるとした道路整備財源特例法改正案を衆院で再議決させる方針を決 めた。
 もう一度「衆院での再議決」を決行すれば、福田さんの政治生命は終わりだろう。連休の中国の胡錦濤総書記の訪日が花道となるのか。

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