【津】全国地方新聞社連合会と伊勢新聞社は二日、津市一身田大古曽の県人権センター多目的ホールで「緊急防災フォーラム」を開き、先の豪雨に伴う多気郡宮川村や尾瀬市、北牟婁郡海山町の災害の様子をスライド上映し、「緊急討論!県民の生命・財産を守れるか。三重の防災を問う」の題でパネルディスカッショをした。
 パネルディスカッションは、伴武澄・共同通信社津支局長をコーディネー才-に葛葉泰久・三重大生物資源学部教授と宮崎純則・県県土整備蔀河川室長、谷口繁喜・津市面防団長、高橋克彦・伊勢市立神社小学校長、田中茂信・国土交通省三重河川国道事務一所長がパネリストとして参加。
「今回の水害に対し過去とどう違っていたか」「起きてみて初めて分かった混乱の中での情報の取り方」「今回の水害を経験にして何ができるか、何が足りないか、何を行政に求めるか」などについて実例を挙げながら話し合った。
 葛葉教授は「台風・暴雨の被害件数は、統計近年増加しているがなぜことしだったかが説明できない」として、可能最大降水量から依然警戒が必要と強調した。
 田中・河川国道事務所長は「今回の雨の降り方は限られた時間、広範囲にあらゆることに同時に対応していかなければならないのに、混乱で現地にたどり着くのに普段の九倍もかかった」とし、市町村など行政のもたつきで、一刻を争う情報の伝達に多くの時間が費やされた現状を指摘し、また、宮崎・県河川室長は「宮川ダム上流域で三本ある連絡経路手段が役に立たず、情報連絡網の整備の必要を強く感じた」とし、高橋校長は 「全国版でなく、自分の住んでいる所の情報がケーブルテレビなどで欲しい。学校には救護用毛布、乾パンの備蓄、自家発電装置をして来た人を受け入れる準備をしている」などの経験を話した。
 また、県や国交省は情報に優先度を付け、緊急情報が早く伝達できるように発信能力を高めるべきだとし、緊急避難所としての学校施設の見直し、市町村は一人暮らしのお年寄りの把握が必要などと提言した。(伊勢新聞)