執筆者:伴 武澄【萬晩報主宰】

5月4日付萬晩報「ペットボトルで毎年1兆円を捨ててきた日本人」には多くの激励と批判のメールをいただき、5月9日付で【読者の声】に掲載したが。その後も感想が届いている。なかでも筆者を勇気づけてくれたのは「飲料業界に従事している」という方からの5月21日付のメールだった。

お金のかかる作業をお金をかけて作り出しお金をかけて捨てている

「飲料業界に従事している」方のメールはまず、

「記事に相違ないと考えられます。なぜならば、私もその飲料業界に従事しいているからです。ペットボトルで毎年1兆円を捨ててきた事が、来年はもっと加速して行くのが現状と思います」

とし、その理由として下記のように述べている。

「2年前までは、1.5-2リットルの大型ペットボトル主体で生産もあまり多くありませんでしたが、昨年から小型ペットボトルの登場で、今年の生産数量は昨年の1.5-2倍が予想されます」

「一部には飲料業界の成長が鈍化傾向にあり、容器変革による注目度アップと小型ボットルの飲み残しやすさが消費者に受け入れられたと業界では分析しています。そしてまだまだ来年については、生産工場の増加とペットボトルメーカーへの供給量のアップを指示しているしだいです」

「私は、飲料業界に従事しながら、缶飲料が増えれば缶処理設備を作りリサイクルし、同じようにペットボトル飲料が増えればペットボトル処理設備によるリサイクルとなる状況について、まさしくそれなりに”お金のかかる作業をお金をかけて作り出しお金をかけて捨てている”とつくずく考えさせると思いです。来年は、軽く1兆円を超えると思います....。」

といった内容が続く。

水量り売り1.5リットル=100円の生協

萬晩報のコラムに対する批判はまず「アメリカの使い捨ては日本以上」「容器持ち込みでジュースが買えるようなところはない」という事実関係に誤認があるとの指摘があった。確かに筆者のワシントンでの体験はアメリカ全土で行われている売り方ではないかもしれない。一部での現象を「アメリカでは」と書いた部分については拡大解釈と反省している。

実は5月から京都生協がミネラルウォーターの充填(じゅうてん)自販機を店頭に設置し始めたことが分かった。ペットボトルを持ち込めば機械が充填してくれるのだが、驚いたのは水道水を濾過しただけの水が1.5リットル=100円という価格である。

空のペットボトルを繰り返し利用する発想には拍手を送りたいが、はるばるタンカーで輸入した原油を精製して売るガソリン価格が30円強(ガソリン税は53円)でしかない時代にあまりにも暴利をむさぼる商法としかいえない。これでは環境もへったくれもない。

宝酒造がスタートさせた量り売りの試み

6月20日、京都の宝酒造が焼酎の量り売りを開始するというニュースを共同通信が配信した。地方紙に掲載されてお読みになった方もいるかもしれない。昨年8月から青森県で試験的に量り売りを導入したところ好評だったため、東日本の18都道県で7月から実施することになった。

酒屋には1キロリットルのステンレスタンクで配送し、店頭でお客が持ち込んだビンかペットボトルに入れて販売するという。同社は「焼酎でうまくいったら他のお酒にも量り売りを拡大していきたい」としている。

そもそもは、東京都八王子市内の酒屋である「ジャックル浦島屋」が始めた酒の量り売りに触発されたのがきっかけだ。電話取材によると、「ジャックル浦島屋」ではビールまで量り売りをやっているいて、全国の酒屋から問い合わせが殺到しているらしい。 日本も捨てたものではない。ただ浦島屋によると、4リットル入りのペットボトルの価格は240円もするそうだ。 全国を探せば、このような例がいくつもあると思うので、ご近所で見つけたときはぜひ、萬晩報にご一報下さい。おおまかな住所と店の名前が分かればけっこうです。