信濃毎日新聞1995年10月20日

 昨年、国内10番目の乗用車組み立てメーカーとして運輸省に認定された光岡自動車(本社富山市)は、改造車「ビュート」の販売が好調で、今後生産車種を増やし、2年後には年間生産6000台体制の実現を目指す。
 富山市郊外の婦中町にある同社の工場。光岡進社長以「板金工場を大型にした程度」と謙そんするが、40人の従業員の手で往年の英国の名車「ジャガー・マ
ークⅡ」をほうふっとさせるデザインのビュートが毎日4、5台のペースで生み出されている。
 ビュートは日産自動車「マーチ」の改造車。外観は全く変えてあるが、エンジンや内装はそのまま。改造はそう複雑ではない。マーチの前部と後部の外板をはがし、ジャガー風の外板を張り付け、五色に塗り分ける。これでジャガーに変身する。
 200万円と決して安くないが、マニアだけでなく主婦にも人気がある。生産能力が月120台と限界があるため注文から受け取りまで半年かかるという。
 同社は、1985年に原動機付き自転車の免許で乗れる50㏄の「ゼロハンカー」を発売して話題を呼び、その後もポルシェなど一世代前の名車のレプリカ(復刻車)などを製造してきた。
 近くスポーツカー「ゼロワン」の型式認定を取得する予定で、生産車種も増やし、2年後は年産6000台体制を 目指す。
 欧米には大手メーカー車を改造して売る市場がある。光岡社長は「ビュート」が売れているのは、大量生産の車に日本のユーザーも飽き足らなさを感じ始めているなりではないか」と分析している。    一