アメリカの税制改革
民主的といえばよいのか。既得権益が交錯する税制改革で、米国は各論反対で日本ではとうてい受け入れられないような税制改革を既に終えている。
1986年に成立した税制改革で政府案の正式名称は「議会に対する公正、成長、簡素化を目指す大統領税制改革提案」という。
具体的内容を単純化していえば、『所得税・法人税の租税特別措置の整理と税率構造の簡素化』である。11%から50%まで14段階だった所得税率を15%と28%の2段階とし、キャピタルゲインの所得控除を廃止した。法人税では最高税率46%で5段階を34%3段階に簡素化、逆に投資税制控除を廃止、減価償却の加速償却を縮減、金融機関やエネルギー産業などへの産業優遇措置を大幅に減らした。金融機関への貸し倒れ引当金は一部小規模銀行を除いて廃止した。
この画期的税制改革に対して当時マスコミは『協力な各種利益団体に素手で立ち向かうようなもの』と評価したが、大方の予想に反して、国民の不満が議員が動かし政府案より一層徹底した税制改革が議会で合意してしまった。