ランバダという踊りが流行っている。男女がももとももをひっつけて踊るセクシーなリズムだ。社会主義から開放された東欧でも大流行と聞く。日本人にはちょっと照れ臭くて馴染まないだろうと思っているが、歌だけは日本語版もできてけっこう耳にするようになった。
 源流はブラジルのリズムだという。累積債務問題やエイズとやたら後ろ向きの話題ばかり提供してきたブラジルだが、久々の明るい話題といえよう。しかし、源流はブラジルでも流行に火を付けたのはパリなのだ。
 フランスという国は、唯我独尊の排他的国民性を持つように思われがちだが、実はそうではない。パリには、旧植民地からだけでなく、多くの国際的才能を持った人士が集まり住んでおり、そうした人々に対して活躍の場を提供している。日本の画家である藤田嗣司や彫刻家の荻原守衛もパリで才能を開花した。
 ランバダの流行はそういう意味でパリの国際性、普遍性を再認識するよいきっかけとなる。日本からみるとそういうことになるが、普段着のパリは別段そういうことを意識しているわけではない。ニューヨークだって、ロンドンだって実は世界の文化の登龍門となっている。
 アジア最大の都市東京がそうした文化の普遍性を持っていないのだったら寂しい限りだ。