便利で安価なトライクがブームに

トライクって言葉を知っているだろうか。東南アジアを旅した人はツクツクという三輪タクシーを知っているだろう。トライクは三輪自動車のことなのだ。たぶん三輪自動車を普及させたのは戦後の日本社会なのだろうと思っている。子どもの頃のトラックは皆、三輪車だった。ダイハツのミゼットという軽三輪トラックが町中を走り回っていた。オートバイの後輪を二輪にしたのが三輪車だったから、三輪車には丸いハンドルがなかった。オートバイと同じ横長のハンドルだった。それが東南アジアに広まってツクツクなど三輪タクシーに発展した。
そんな乗り物が今日本で復活しそうな勢いなのだ。日本で独自の発展をしたのは軽自動車である。3輪トラックの生産を始めたは後のダイハツの発動機製造株式会社。1931年に排気量490ccのHB型3輪トラック。なぜか500cc未満の車両は免許が要らなかった。戦後、軽車両という区分ができて360ccが定着した。スズキはスズライトという乗用車をつくったが、売れなかった。後発の富士重工のスバル360が日本のモータリゼーションの先駆けとなった。

右上の写真は大阪のメーカーが今年発売した普通免許で乗れる3人乗りNEO-ONE。90万円の三輪小型モビリティなら買いかもしれない。来年はスズキ、ダイハツが追随する。もっと面白いのはスズキのSuzu-ride。特定原動機付自転車いわゆるキックボード規格の4輪車。一人乗りだが無免許で最高速度20キロまで出せる。クールなシニアカーだ。現行のシニアカーは時速6キロしかだ出せないが、20キロなら自転車以上のスピード。免許を捨てた高齢者の恰好な乗り物となるだろう。限界が来ていると思われた軽自動車規格、アジアからの刺激で面白い未来の乗り物に生まれ変わりそうな勢いである。
