高市早苗が壊す日本経済
2022年、「1ドル=140円が目前の日本経済」と題して話をした。「円ドルの為替が1ドル=134円を下回った。135円はおろか140円すら目前となっている。この円高は国民の消費物価を確実に押し上げる。賃金が上がらず物価だけが上がることになれば、国民1人当たりのGDPがそれだけ低下することを意味する」と危機感を訴えた。

その為替相場が、高市首相になって急騰、今日は1ドル=157円台。就任から10円の円安で、3年前からほぼ2割の円安水準にまでおちこんでいる。高市政権は口では「物価」を掲げているが、今回の経済対策でも前政権時代に野党と約束したガソリンの暫定財率以外、物価を下げる対策はない。あるのはこれまで通りバラマキによって困窮する国民生活を支えようとしているだけだ。昨年の経済対策は14兆円、今年は21兆円。併せれば、消費税の年間税収の約1.5倍にもなる。
高市首相の言う積極財政とは、インフレを起こして、過去の借金の価値を小さくすれば(円の価値を小さくする)、まだまだ借金を増やせるという意味なのだ。高市さんにとって物価が下がると借金を増やせなくなって、積極財政を推し進めることができなくなってしまう。だから財政出動は増やしても物価を下げる政策は取らないということになる。
高市政権はまだ1カ月足らずだが、足元で起きていることは円安と債券安。積極財政は円安を誘導し、国債増発は債権の売りを招く。2022年のイギリスのトラス政権は、財源のない大規模減税策が市場の混乱を招き、たった49日で辞任に追い込まれた。高市政権は対中外交で追い込まれているだけでない。経済政策でも市場から問題提起されていることを知るべきであろう。
