日銀はまた利下げを見送った。高市政権に気を使ったのか分からないが、アメリカFRBは2回連続して利下げしたばかり。日本の物価高を防ぐ一番の施策が円高誘導であることは誰もが分かっている。現在、1ドル=150円の円ドル相場が120円になれば、2割輸入物価が下がることになる。大騒ぎしているガソリンの暫定成立は25%でしかない。円相場が下がればガソリンは当然下がる。一番家庭生活に影響のある電力・ガスも下がる。消費財を下げる議論もあるが、10%をゼロにしたところで、輸入物価の引き下げ効果に比べれば大したこともない。十数年前、民主党の時代、1ドルは100円前後だった。仮にその時代に戻れば、輸入物価は3分の2になる。そのころ高知でもガソリンは1リットル=100円前後だったことを思い出そう。それだけ、円相場はわれわれの日々の生活に直結しているのだ。高市首相が「世界の真ん中で咲く花」といっているが、1ドル=120円になれば、日本のGDPは再びドイツを抜いて世界で3位の地位を取り戻せる。円相場を円高誘導するには、日本の金利を普通に戻すしかない。そのために、植田さんは総裁に選ばれたはず、任期の半分がすぎたのに、まだ0.5%しか金利を上昇させていない。職務怠慢である。日本経済が30年間以上にわたり停滞しているのは、ゼロ金利から脱局出来ない体質になる。ゼロ金利は本来、短期的には劇薬として機能するはずのものだった。長年継続することによって、いくらでも借金できる体質をつくってしまった。金利が上がって困るのが財務省ということになり、日銀による金利調整に巨大な圧力がかかるようになった。劇薬も長期間使用していると効き目がなくなるのは常識。薬の効き目を取り戻すためにはある程度の金利が不可欠なのだ。景気が悪くなった時に金利を引き下げようにも今の金利では引き下げる幅があまりにも小さいのだ。