広域消防などいらない
高知県はこのほど、高知県消防広域化基本構想骨子案を発表した。浜田県知事が9月議会で示唆していた内容だ。今後、有識者会議である「あり方検討委員会」を開催して基本計画を策定する段取りとなっているが、実はこの骨子案に新たな組織図まで掲載されおり、あり方検討委員会は形式だけの組織となる。そもそも総務省消防局から出て来た構想で、全市町村議会の承認を得なければ成立しないことになっている。
総務省は人口減少が進む中で、各消防本部の維持が困難になるため、「広域化」によってサービスを維持しようと考えているようだが、平成の市町村大合併やJAの組織統合など、大規模化によって市民や農家へのきめ細かいサービスが低下したという経緯もある。日本の地方自治は、地域あってのものであるはずだ。基本構想では、広域連合委員会(委員長、副委員長、委員)その下の県消防には消防長、次長がいて、総務課、警防課、救急課、予防課、指令センター、消防学校を設けることになっている。県消防のほかには選挙で選ぶ広域連合議会を設置し、事務局、監査委員、選挙管理委員会、公平委員会なるものも設置する。現在ある20の消防署は5つの方面消防本部の下にぶらさがる。
高知市は今年から土佐市と共同で指令センターを運営するなど消防の地域連携はすでに始まっている。必要に応じて地域の消防署が互いに連携すれば、コストも安いはずだ。この巨大な頭でっかちな組織の運営費はだれが負担するのか。地域の消防を担っている消防団はどうなるのか。現時点で高知県に消防のノウハウは全くない。まったく分からない。構想では4年後に広域連合高知県消防局の発足を目指しているが、議論の余地はない。まず高知市議会から巨大消防組織に反対していきたい。すべての市町村議会が賛成するはずもない。無駄な時間と労力を費やすのはやめようではないか。