徳島県神山町では昨年4月から町営バスを廃止し、町内の公共交通をタクシーに一本化した。「まちのクルマLet’s」が名称。神山町のユニークなところはタクシーの運賃の85%を町費で賄い、住民負担を15%にしたこと。最大8000円までの運賃が対象。町の中心から徳島総合病院までに相当する。15%だから1200円で行ける。相乗りも可能。「高校生が4人乗ってイオンに遊びに行った。運賃は1000円で1人250円で行けたと喜んでいた」という。65歳以上の高齢者がいる家庭900件にはWi-Fi付きタブレットを配布済み。高齢者向けにアプリの表示を大きくしてある。当然、Let’sの申し込みが簡単にできるようになっている。
 仕組みはウーバーと似ているが、タクシーそのものがなくなるとそれこそ町の公共交通が全滅するとの考えから、町に3社あるタクシー会社に業務を委託している。現在3社で9台の車があるが、足りないので町が6台の新車を購入、無償でタクシー会社に貸し出している。もちろん、こちらは白ナンバー車だ。
問題は経費。かつては町営バスの運営に3,4000万円をつかっていたものが、初年度の昨年度は経費が7000万円となった。町としては「町民がそれぞれ満足してもらっているため、コストパフォーマンスは悪くない」と評価している。タクシー会社も乗客が倍増しているから悪くない。
 過疎の町だからこそできる発想で、そのまま高知市全体に導入できるとは思わない。だが、すでにバス代替タクシーに依存している周辺地域では可能なシステムではないかと考えた。やるべきことをやっている自治体がまだまだ日本にはありそうだ。