9月5日、高知新聞は「長浜小保護者 不信渦巻く」と報じた。事故発生から2カ月。「5日の保護者説明会で、担任らは事故の際に児童の点呼を取らず、人数も把握せずに授業をしていることが新たに分かった」という。事故関係者はマスコミに対して「警察の捜査に支障がある」など取材拒否の姿勢を崩していない。高知市は真相究明を掲げながら、情報を公開しない。これが今回のプール事故で改めて知らされる現実である。
保護者や市民が怒っているのは何だろうか。もちろん児童がプールで溺死したことが第一であろうが、その後の関係者の態度に隠蔽体質を感じるからであろうと思う。高知市という行政機関からすれば、第三者委員会は民間という第三者の立場から事故原因を公正に検証してもらうということになるが、市民からすれば「責任逃れ」にしか見えない。
もちろん、市教委が「身内を裁く」ことになれば、追及が手ぬるくなる可能性が高い。だから第三者委員会の設置となったのだが、その委員会が非公開となれば、市民は真相解明の議論を知る機会を失うことになる。不思議なことに高知県警は、死亡事故の経緯はおろか発生についてさえ、公表していない。プール溺死事故はたぶん今年これまで高知市で起きた一番の事件である。高知新聞も県内テレビも連日、関連ニュースを報道してきた。その市民の最も関心の深い情報を高知市役所はこれから半年以上に渡って出さないのだとしたら、どうなるだろうか。
地方自治法98条には「議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する書類及び計算書を検閲し、当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員の報告を請求して、当該事務の管理、議決の執行及び出納を検査することができる」とある。
もはや高知市議会しか、プール事故の真相を解明できる場所はなくなった。高知市は市議会に対して、情報の開示をする義務があるものと認める。市長と教育長は議員の質問に対して誠実に説明することを約束できるか?