はりまや橋夜学会 石破総裁誕生でほっとした
20年前、一番嫌いな政治家と問われれば、石破茂の名前を上げただろう。小泉内閣の防衛相を務め、自民党の最右派と言われた。ねちっこい目で議論では人を小ばかにした表情が嫌いで仕方なかった。2012年の自民党総裁選で地方票中心の第一次投票ではトップだったが国会議員投票で安倍晋三に敗れた。安倍晋三がその後の選挙で民主党を破り、長期政権を続け、安保法制、敵基地攻撃能力などこれほど好戦的になるとは思わなかった。この十数年で日本の政治体制は相当に右に傾いたため、気が付いてみれば、石破茂などはまだましな政治家に映り始めていた。第二次安倍内閣では自民党幹事長を務めたが、その後は鳴かず飛ばず。自民党の片隅に追いやられた格好となっていた。その石破が今回の総裁選の決選投票でこれほどの国会議員票を取るとは思わなかった。正直、今日の午後3時までは高市早苗が総裁に選ばれてしまうのではないかと危惧していた。 今一番、首相になってほしくない人物が高市早苗だったからだった。高市が首相になれば、日本を壊したアベノミクスが復活、対中国でも強硬な敵対政策を打ち出す可能性があった。昨夜の飲み屋談義では「もう日本人をやめたい」とも考えたから、正直ほっとしている。田中角栄の後継に三木武夫がなった時と似た政局が生まれるかもしれない。しかし強い政治基盤を持たない三木武夫を長続きしなかった。同じく強い派閥を持たない石破は同じような立場に立たされるだろう。それでも高市よりはましだ。首相になっても靖国参拝を続けると言っていた高市だ。中国とも韓国ともようやく関係修復が始まったばかりの日本にとってこれほど困ったことはないと考えていた。総裁選で勝利したとはいえ、石破の周りは四面楚歌だ。今夜から自民党幹事長をどうするか頭を巡らせなければならない。