日本ムービングハウス協会という一般財団法人が、災害時の仮設住宅のためコンテナハウスの備蓄を始めている。災害時に被災地への大量供給に備えるべく「ムービングハウス」の社会的備蓄に向けた官民連携の取り組み「防災・家バンク」をスタート。2018年の岡山県豪雨で初めて災害救助法に基づく応急仮設住宅として「ムービングハウス」が採用された。東日本大地震は阪神淡路大地震の際には数万戸の仮設住宅が建設された。協会では1万戸の「備蓄」を目指している。高知県大豊町にはすでに熊本で使用されたコンテナハウス70戸分が備蓄されている。

 能登半島地震でも輪島市で90戸、中能登町で10戸のコンテナハウスを設置、仮設住宅としての利用が始まっている。北海道を中心に多くの自治体と協定し、コンテナハウス供給を約束している。高知では高知県、いの町、黒潮町とすでに協定を結んでいる。

 ムービングハウスは基本的に船舶向け20ヤードコンテナでつくられる。長さ12メートル、幅3メートル弱。広さは30平米。組み合わせで60平米の広さも可能。トレーラーで運搬し、電気、上下水道、ガスを接続するとその日から使える。30平米はかつての公営住宅2DK程度の広さ。もちろんバストイレ、台所やエアコンも完備している。夫婦の生活には十分といえよう。

 仮設住宅の建設には1戸当たり700万から1千万円の費用が必要とされるが、コンテナハウスの場合はその3分の2程度のコスト。コンテナによる輸送費はかかるものの、数年の仮設期間を過ぎれば、備蓄基地で次なる災害のため「待機」することになり、何回も使用が可能。もちろん、簡易宿泊所として「営業」も可能。日本の場合、災害時の避難所の最大の問題はプライバシーの確保である。先のトルコ地震ではドバイから1万戸のコンテナハウスが供与され、話題になった。そろそろ我々は学校体育館での劣悪な避難生活的発想から脱却しなければならない。アメリカに約束した戦闘機などの武器購入費用から比べれば、格段に安い将来への投資といえるだろう。