執筆者:伴 武澄【萬晩報主宰】

昨年末に閣議決定された2001年度政府予算案では、一般会計予算の規模が82兆円で、政策的経費となる一般歳出が48兆円。赤字を埋める国債発行額は28兆円となった。

だが本当の姿は一般会計の規模が142兆円で、一般歳出48兆円、国債発行額88兆円と言わざるを得ない。大蔵省が発表した国債発行額は新規に発行する国債だけで、来年度に返済時期が到来する過去の国債60兆円の返済と借り換えを予算規模に加えていないのである。

一般会計予算は年間のお金の出入りすべてを計上するものだが、返済と借り換えが同額だからといって省略するのは一種の粉飾である。国が発行する国債が必ず売れるとは限らないのはかつてのアメリカでも実証されたことではないだろうか。

一般会計に必要な82兆円という予算額を上回る88兆円を新たに借りるという異常な事態はすでに昨年から始まっているからべつに驚くほどのことではないかもしれないが、萬晩報流に来年度予算の政府案を読み換えると会計規模の3分の2が借金関連という日本の予算の異常な姿がより鮮明になるはずだ。

だがこんなことで驚いてはいけない。来年度予算からは一般会計の国債発行に加えて、国の第二の予算といわれる財政投融資計画(財投)でも第二の国債発行が始まるのだ。

財投改革の一環として、従来、郵便貯金や年金などからの借り入れによって賄われていた財投計画が4月から「財投債」の発行という形態に変更される。本来は日本道路公団など国の特殊法人がそれぞれ「財投機関債」を発行して独自に資金調達するというのが改革の主旨であったが、改革の初年度からほとんどの特殊法人が独自に資金調達できない場合の特例として設けられた「財投債」の発行に依存することになった。

国が発行する財投債は名前は違ってもが国が発行する債券だからまさしく「国債」そのものである。

そうなると日本の来年度の国債発行額はどういうことになるのか。88兆円に財投機関債+財投債の計44兆円を加えた132兆円ということになる。

マスコミは大蔵省の発表のままに国債の総発行額について、88兆円の国債に市中消化される財投債10兆円を加えた98兆円と書いたが、発行形態がどのようなものであっても国債は国債である。

一般会計枠の新規発行額28兆円だけでも市場の金利上昇要因となるのに、さらに財投枠の巨額の国債が加われば日本の金利や通貨に多大な影響をもたらすことは必至である。

恐ろしいのは来年度以降、毎年40兆円内外の「財投債」が国債発行計画に上乗せされ、例え財政が健全化して無借金財政になったところで、政府の特殊法人が存続するかぎり、借換債プラス40兆円で100兆円規模の国債発行が延々と続けられるという宿命にあるということだ。(続)