内橋代表が「人格経済」に言及 2012年国際協同組合年
2012年国際協同組合年全国実行委員会の第1回会合が8月4日に開催された。代表には経済評論家の内橋克人氏、副代表にはJA全中の茂木守会長と日本生協連の山下俊史会長が就任した。昨年12月18日開催の国連総会で「2012年を国際協同組合年とする」ことが採択されたことを受けて関係団体が集まった。
内橋代表は記者会見で、賀川豊彦が提唱した「協同組合による人格経済」に触れて「国連の提起は、現在の市場が主語になっている社会に対し人間が市場を制御するべきとの認識が基盤になっていると思う。高い理念と協同組合自身が足下を固めるというその両方の釣り合いをとりながら各地で様々な取り組みを展開したい」と述べ、この運動の根幹が「助け合いによってつくられる市民社会」にあることを強く宣言した。
山下副代表もまた昨年の賀川豊彦献身100年記念事業に言及し「賀川豊彦は日本生協連の初代会長。救貧活動に身を投じ、人格経済を唱えた賀川豊彦の協同の思想を100年に1度の危機と言われる今日、どう受け止め直しわれわれの事業の核としていくにはどうすればいいか考える契機にしたい」などと締めくくった。
名誉顧問に就任した宇沢弘文東大名誉教授は、協同組合思想の原点に1891年にローマ法王が世界に向けて発信した文書(回勅)「資本主義の弊害と社会主義の幻想」があると紹介し「すべての人たちが協同して苦しい時代を切りひらくことを強調した重要な文書。その中心が協同。国際協同組合年は非常に意義がある」と話した。(日本農業新聞の記事を中心に編集、文責:伴武澄)
実行委員として出席した賀川督明さんからは関係者メールで「さまざまなところから、豊彦の話を織り交ぜての発言があり、オーバーに言えば賀川豊彦の”連呼”だった」との報告があった。