「高い欧州輸入車」を真っ向批判」1996年2月20日
(輸入車の製造国での販売価格と日本での価格の格差を記事にしたら大きな反響を得た。その中でフォードの日本社長から「あの記事はよかった」とほめられた。その勢いで鈴木弘然社長にインタビューを申し込んだ思い出がある)
「フォルクスワーゲンのゴルフは100万円高い」―欧州車の高価格政策を真っ向から批判する新聞広告を掲載、話題を呼んでいる鈴木弘然日本フォード社長に輸入車事情を聞いた。
-消費者は日本の輸入車価格が割高だと感じ始めているが、輸入車販売会社がなぜ輸入車を批判するのか。
「米国でカローラより安く売っているゴルフを100万円も高く売るのは、あまりにも日本人をばかにしたやり方と思ったからだ。輸入車販売が20万台を超える時代になったのだからもっとまじめに売る努力が必要だ」
―輸入車はまじめに売つていないと。
「特に欧州車はひどい。大衆車で100万円、BMWやベンツなどは二百数十万円から500万円高い。メーカーは、日本人は高くないと輸入車をありがたがらないというがおかしい。輸入車のうち大衆車は約10万台。100万円違うとすると日本人は1000億円搾取されている勘定になる」
-一部で輸入車の中古車価格が下がっているが。
「新車価格をあまりに高く維持すると中古車市場に無理がくると言ってきた。アウディにしろチェロキーにしろ1年落ち(新車で購入した1年後)の引き取り価格は半値。高い車ほど
落ち込み方が大きい。安い並行輸入車と競合するからだ。中古に出す段階で消費者に負担をかけるならぱ最初から安くすればいい」
―フォード車も一部を除いてまだ内外価格差がある。
「われわれが主張しているのは絶対的な価格差ではない。為替も変動することだし、本国とまったく同じ価格で売るのは難しい。価格帯としては日本車と同じゾーンで売っていると自負している」
―輸入車市場の展望は。
「三年以内に韓国車が本格参入してくる。2005年にはインドネシアやタイ製のトヨタ車が逆輸入されるだろう。メーカーの国籍とブランドが別々になり、ブランドの持つ意味がより
大きくなる。そのときまでにフォードなりの価格と品質を確立しておく必要があるだろう」