高知市会議員の下本文雄さんが、4月、10日間の日程で中米のコスタリカを訪問しました。世界で唯一、軍隊のない平和国家です。人口は約500万人ですが、警察は6500人、国境警備隊3300人で治安維持をしているのには驚く。東京都は1000万人強だが、5万人もの警察官を抱えている。
コスタリカが軍隊を廃止したのは1949年。過去の戦争への反省から憲法で廃止を決めた。軍事のかかる費用は教育費や社会福祉に回す。反戦のスローガンは
「兵士の数だけ教師をつくろう」
「兵舎を博物館に」
「洗車より耕運機だ」
「武器をバイオリンに変えよう」
コスタリカの面白いのは動物園をつくらないこと。国土の25%を自然保護区にしており、動物を見たければ保護区へ!

1.コスタリカ憲法(1949年)

第1条 コスタリカは自由かつ独立の民主共和国である。
第12条 常設の組織としての軍隊はこれを禁止する。
    公の秩序の維持に必要な警察力は保有する。
    大陸内の協定または国内防衛のためにのみ軍事力を組織することができる。
本当に軍隊をなくした。
 軍艦、戦闘機、戦車はゼロ
2.いわゆる国家の武装組織は3段階
・警察―――社会の治安維持
 国境警備隊――専守防衛、領土保全、密輸取り締まり
 軍隊――他国と戦う
・コスタリカ(人口500万人)
 警察(6500人)
 国境警備隊(3300人)計9800人
 軍隊 0人
・日本(1億2700万人)
 警察(28万人)
 国境警備隊(海上保安庁)(1万3000人)
 軍隊(自衛隊)23万人(予算規模は世界7位)
3.なぜ軍隊をなくしたのか
① 戦争したことへの反省(1948年~4000人死亡)
② 軍隊はクーデターを起こす危険がある。
③ 軍事費に金がかかりすぎる(年間予算の30 %を占めていた)
何に使えば発展するのか!
教育だ!
・兵士の数だけ教師をつくろう
・兵舎を博物館にしよう
・戦車より耕運機だ
・武器をバイオリンに変えよう  (芸術)
4.国土の25%が自然保護区
・動物園はつくってはいけない。
・世界の0.03%の土地に0.5%の生物
50万種ともいわれ、生物の宝庫
・エコツーリズムの発祥の地でもある
見たければ自然を!
・道路・トンネル制限
・原発無、自然エネルギー100%
水力、風力、地熱発電

自然破壊 = 無知と欲が動機」
5.訪問した時にいた動物、野鳥や生物の名前をあげてくれました。

コンゴインコ、ナマケモノ、シロヘラコウモリ、グリーンバジリスクのメス、オオハシ、カンムリシャクケイ、モルフォ蝶をくわえるキリハシ、フクロウチョウ、ミドリタテハ、ハチドリ、ヤドクガエル、タイランチョウ、メキシコヤマアラシの子、サソリ、イチゴヤドクガエル、グリーンバジリスクのオス、ハナサキコウモリ、アカメアマガエル
6.選挙最高裁判所と国会
①選挙最高裁判所
・司法、行政、立法の3権力から独立した「第4権力」
・民主主義を制度的に支える独自の仕組み。
・選挙6カ月前からは、公安警察指揮権含め全権を握る。
・選挙人台帳のもと戸籍登録を所管、投票身分証明も発行。
・仕事の一つが選挙に関わるありとあらゆる行政事務及び判断を司る。
・選挙の意味、投票の方法を小学校から教える役割も持つ
・デモの仕方まで教育
・選挙は4年に1度、ワールドカップの年2月(今年)
大統領、国会議員を全員選ぶ、任期は4年に限る(権力、癒着阻止)
7.国立歴史博物館
・博物館となった兵舎(元陸軍司令部)
・コスタリカの歴史
先住民の時代からスペイン植民地時代、1948年の内戦、現代にいたる歴史や、貴重な黄金細工、石器を展示。
・資源がない国~功を奏する結果を生んだとも・・・
8.コスタリカ、年間予算の30%が教育費
義務教育は13年間、幼稚園から高校まで無償
大学の学費も格安、70%が奨学金
教育省職員の教育目的の説明
・我が国の教育の目的は、だれもが一人の人間として意識でき、何よりも本人が幸せであること。
・我が国は人権の国です。他人の権利を認めることが平和につながる。
・自分と同じく他人の人生を人間として尊重することから民主主義が生まれる。
違って当たり前、違うことに誇りを持つ、自分の意見を持つこと、これらは幼稚園からはじまる。
9.幼稚園から民主教育、平和を学ぶ
インクルーシブ(包摂)教育の現場(       )
252名の園児(視覚障害、聴覚障害、知的障害、多動障害等、50人以上)
職員研修は教育省の行う連続22日間の研修が専門外の警備員も含めすべての職員に義務付けられている。
小学校の机が台形?=対話型の授業
6人~が机を囲むことができる。
教員が前に立ち一方向を向く授業ではなく、全員が平等に対話できる環境を作ることで平和教育、民主主義の精神を育む狙いがある。
10.文化歴史センター(中学生と交流)赤枠
生徒会選挙・生徒が政党をつくり、政策を訴える。専門学校では党首討論も
11.最高裁判 憲法小法廷で人権国家の礎
1989年に最高裁判所の中に憲法法廷を設置、地方裁判所を経ず、直接の訴えを365日24時間、予約なし受付可。基本的人権は常に守られなければならない。年3万件。
◎シンボルから使える憲法に。
・国民(外国人、子ども)が気軽に憲法違反の訴えを起こすことが可能に。
・小学生でも違憲訴訟、難しい憲法をなぜ?・・・愛される権利
・イラク戦争で大学生が一人で大統領を訴える。ロベルト・サモラさん。
・手続きもカジュアル。紙ナプキンでも、お菓子の紙でも可
「コスタリカ在住者」の個人の権利を回復と明記
・ささいな人権侵害も見過ごさない。
・大切でない人間は一人もいない。
プーラ・ビーダ=純粋な人生 あいさつ
12.国連平和大学(1980年創立)
世界50カ国の学生が学ぶ
「平和は戦争行為の結果によってのみ訪れるものではない。平和教育を通じて積極的に獲得していくべきものである」
武力によるものでなく、普段からの教育を通じて平和を構築しようと呼びかけ(1978年ロドリゴ・カラソ大統領)「世界を平和にする方法を考える国連平和大学を設置してはどうか。建物も土地もコスタリカが提供する」と提案。加盟国の賛同を得た。
運営資金は各国の賛同政府や、財団の任意寄付金が主。
13.国連平和大学設立理念
「人類に理解、寛容、共存の精神を促進する、平和への国際的な高等研究機関である」(コスタリカ平和教育の理念)
平和大学の創設に賛同、協力する条約締結は42カ国だが、残念ながら日本の名はない。
世界の50~60カ国、毎年120人ほどの学生、女性が70%
国際的な権利、環境、平和と紛争について1年間学ぶ。
日本人も毎年、10~20人と多い。沖縄、広島、長崎等
飾ってある千羽鶴も原点は広島留学生。
私たちも1時間の中南米情勢についての講義を受ける。
また、難民対象の起業教育も実施中だった。
平和の輸出を実践(CIA暗躍にもめげない)
1983年ニカラグア内戦ゲリラ支援のためコスタリカに米基地を求めたが…アルベルト・モンへ大統領が対応。コスタリカ平和外交で米レーガン政権に屈しなかった。その後のアリアス大統領もニカラグア、エルサルバドルグアテマラの戦争を終結させる。武器を廃棄させる。ノーベル平和賞を受賞。
国連核兵器禁止条約を主導(1997年に正式提案)2021年画期的な条約発効
14.コスタリカの直面している課題
(平和大学)
「ラテンアメリカにおける米国の影響とコスタリカ」南米エクアドル人の女性博士の講義~

① 米国は、トランプによる経済や武力によってラテンアメリカ一帯に新植民地主義を展開。
中南米の国々に不平等の自由貿易協定を無理やり押し付け、グリーンランドやカナダ、南米北部まで含む一帯を米国が支配する安全保障ブロックに組み込む狙い。
米軍が1月にベネズエラに侵攻したのはその一環です。コスタリカもこの一帯に含まれる。
薬物依存等でセーフティーネットが追い付かない。シェルター対応などを急いでいる② 南②米のマフィアが麻薬を米国に密輸する通り道にあって、外国のマフィアがコスタリカの国内で暗躍している。
このため平和大国コスタリカの治安が急速に悪化。それに付け込んだ米国はコスタリカの警察を訓練し米国流の暴力的な取り締まり方法を教える状態。
ツァー参加者より
「コスタリカが再び軍事化することはありませんか」と質問しました。博士は「コスタリカの警察力が強化されているのを感じます。しかし、コスタリカ人の脳には非暴力の考えがインプットされており、国民はそれを誇りに思っています。再軍備に至ることはないと思います」ときっぱり答えた。
15.日本をこんな国にしよう!
〇開発途上国の街並みだけではわからない。学校、憲法裁判所、博物館、国会、平和大学、エコツアー
小さな国で貧しいが、平和と人権に基づく土台が築かれている。
 日本が憲法を生かせばどれだけ大きな力が発揮できるか!
〇コスタリカは「愛されてない」なら違憲訴訟できる。しかし、日本は愛されてないのは「自分のせい」「自己責任」引きこもり、うつ、自殺、救済制度がない。子どもに対する姿勢が全く違う。子どもの権利、すべての個人の基本的人権擁護システムの構築。
〇日本の最高裁判所の裁判官15人枠に憲法学者が1人しかいない。裁判システムを変える。
〇選挙管理員会及び、選挙についての教育を抜本的に変革強化
〇「もっとも良い防衛手段は防衛手段を持たないこと」(ノーベル平和賞のアリアス大統領) 日本には平和憲法がある。平和の輸出を!