税金こそが民主主義の原点
そもそも議会とは、国王の無茶な課税と不当な逮捕に抵抗したのが、 その起源。民主主義の根源には税金の法定主義がある。議会が法を作ってその法を国王に守らせることを考えるほかない。こうして生まれた最初の法がマグナ=カルタ(1215年)である。 トランプ関税はまさに、400年来の西洋の民主主義の伝統を無視した手法。アメリカでもこれまで、税額や税率を決めるのは議会だった。アメリカの議会が共和党の支配下にあるとはいえ、トランプ関税に沈黙を守っている。それをヨーロッパ諸国までが受け入れたのだから不思議でしょうがない。
石破首相が9月7日、突如、退陣を表明した。この時期に表明した理由について、石破さんは日米関税交渉が決着したことを上げた。もともとアメリカの自動車関税は2.5%でしかなかった。4月、トランプはそれに25%上乗せすると発表した。その後、日米交渉が始まり、8月1日、突如として日本に対する関税は15%とする合意に達し、大統領令が署名された。一方、自動車の関税率は、25%の追加関税が課せられたまま。それが9月4日、15%に引き下げることになった。日米で合意文書が交わされたが、本当にこれで終わったのか分からない。
アメリカの大統領令は緊急事態への対応として認められているだけ、平時は議会が決めるべきものである。アメリカではトランプの大統領令は違憲であるとの訴状が始まっており、8月29日、ワシントンの連邦巡回区控訴裁判所は、トランプ関税の合憲性が争われていた訴訟で、相互関税などを憲法違反とした一審判決を支持する判断を下した。トランプ米政権側は連邦最高裁に上訴している。控訴裁は同日公表した法廷多数意見で、トランプ米大統領が関税の法的根拠とした国際緊急経済権限法(IEEPA)は「大統領令によって発動した関税を認めるものではない」と判断した。
