「農家の米 わりでんや」という面白いユーチューブ・チャンネルがある。まちの米屋さんが、日本のコメ問題を語っていて、海外の日本米が日本より安い理由について説明している。「アメリカでの日本米の価格は19.99ドル、約3000円」なのだそうだ。アメリカへの輸送費も含めてこの価格となるのは、春先に輸出価格が決まるからだと説明している。つまり、日本でまだコメが高騰していない時点での価格で輸出されていることが一番の理由だ。次いで、輸出米は新事業開拓米として、飼料用などとともに1アール当たり4万円の補助金があること。60キロに換算すると約5000円の補助金である。さらに輸出米は国内の主食用とはまったく違う価格体系となっていることだ。

国内でコメが足らないと言って騒いている時に、「輸出奨励はないだろう」というのが消費者の気持ちだが、アメリカでの日本米の方が安いとなれば、「国民がバカにされている」に等しい。アメリカはこの補助金について「輸出補助金」であり、WTOで禁止されていると主張しているが、農水省は「あくまで新事業開拓のコメ」として輸出補助金ではないと反論している。

実はこの新事業開拓米への補助金は4500億円。備蓄米の経費と併せると5000億円になる。日本の農家数は88万戸とされている。このうち農業が副業なのは74%。主業は8%、84万戸の個人経営のほとんどが副業であり、団体経営の4万戸が主業。

農水省は減反政策を長年続けてきた。コメの消費が右肩下がりだった時代はそれでよかったかもしれないが、コロナ後、どういうわけかコメ消費が反転して増え始めている。減反政策は2017年で終わっているが、生産面積の届出制度は続いており、事実上、減反は続いているというのが、業界の認識。わりでんやは「そもそもコメ不足は23年産米が40万トン足らなかった。昨年夏から、コメ価格の高騰が始まったのは、その影響だ」と主張している。悪徳流通業者が「貯めこんでいる」わけではないようだ。

2024年産米の集荷価格は、概算金(仮渡金)として、JAしまね(島根県農業協同組合)では、コシヒカリの1等米(60キロ)が前年比で4600円高い1万6800円(5キロ=1400円)に引き上げられた。農林水産省が17日発表した、JAグループなど集荷団体とコメ卸間での相対取引価格は2024年12月時点で玄米60キログラムあたり2万4665円と過去最高だった。5キロで2055円である。これが店頭に並ぶと4000円を超えるという計算が分からない。