4月2日、トランプ政権は各国に10%関税を課した上で、それぞれに追加関税を上乗せした。日本は24%、EUは20%、中国は54%となる。それとは別に自動車には現行2.5%に25%上乗せする。鉄鋼・アルミはすでに25%の関税が課せられている。筆者は、ドルの25%切り下げに等しい経済効果を引き起こすと考える。中国元に対しては50%以上の切り下げとなる。日本はいまのところ静観しているが、各国はトランプ関税に対して「報復する」との声明を発表している。世界的な関税合戦によって、自由貿易体制は大きな転機を迎えたことは確かだ。トランプ関税の特徴は自らの経済圏を守るのではなく、世界を敵に回す行動だといえることである。アメリカの最大の輸出品目である小麦などに報復関税が課せられると、食料品を中心に世界的なインフレを招くことは必至。想定を上回る経済的混乱が予想されよう。

 2024年の貿易統計速報によると、輸出額は前年比6.2%増の107兆円。輸入額は前年比1.8%増の112兆円。貿易収支は5兆円の赤字。アメリカは輸出が2兆ドル(300兆円)。輸入は3兆ドル(450兆円)。貿易収支は1兆ドル(100兆円)の赤字。アメリカは世界最大の輸入国で、世界の製造業を支えて来たことは事実である。経済規模は日本が4兆ドル(600兆円)であるのに対してアメリカは7倍の27兆ドル(4000兆円)。それにしてもけた違いの輸入金額である。トランプ大統領が関税の大幅アップを決めた理由もここにある。アメリカはドル札を増刷して、赤字の穴埋めを長年行ってきた。その米国債を購入してきたのが日本を始め、中国やEU、産油国だった。もはや世界はドルを支えきれないかもしれない。ドルの暴落となれば、その影響は世界の金融市場にも大きな打撃を与えるかもしれない。日本もその準備をしておかなければならない。アメリカの武器購入の爆買いなどはいますぐにやめるべきだろう。(萬晩報主宰 伴武澄)