令和6年第503回 9月定例会

◆伴武澄 市民クラブの伴武澄でございます。質問の通告について,私は南海中学プール死亡事故としました。あえて死亡を入れました。なぜなら,この重大事案検証室あるいは第三者機関の名前に,死亡という言葉が入っていません。これ,ずっと最初から気になっていたことです。これは記録に残すために,死亡という字をあえて入れました。
 まず,今回の質問をするに当たり,知人からこの本を紹介されました。教育委員会の方は読まれていると思います。「遠い声をさがして」と,石井美保さんという京都大学の文化人類学者が書いた。これは,12年前に京都市内の小学1年生の女の子が溺れて死んだ事件に関わる10年間の物語というか,読後感で言うと,非常に重たい気分でこれを読みました,4日間かけて。
 その被害者というか,お父さん,お母さんと,最初から教育委員会との間に衝突があるようなところから物語が始まりますけれど,最後は,第三者委員会をつくるんですけれど,この結果に対して遺族が満足しなかったわけです。もう一回やりたいと言ったら,資料がないと。第三者委員会をつくったら,報告書をまとめた時点で調査資料は全部廃棄したという,とんでもない結果が書いてあって,僕もびっくりしました。そんなことをするのかと。
 その質問のやり場を,第三者委員会はもう解散しているから,答えようがない。第三者委員会って,そんなもんでいいのかと。調査資料を廃棄した上に,解散してしまったら,その報告書に対しての質問もできない,質問する相手がいないという重要な問題で,今回もそうならないようにぜひお願いしたいと思いながら,これを読みました。
 あえて質問書を提出しましたけれど,9月5日の高知新聞は,「長浜小保護者,不信渦巻く」と見出しを報じています。事故発生から2か月,1日の保護者説明会で,担任らは事故の際に児童の点呼を取らず,人数も把握せずに授業をしていることが新たに分かったというような記事の内容です。
 事故関係者は一貫してマスコミに対して,警察の捜査に支障があるなどと取材拒否をしております。これは今も変わりません。
 高知市は真相解明ということを掲げながら,一方で,情報は開示しないと。不思議なことです。これが今,市民に突きつけられている現実だと思います。
 その記事によると,保護者や市民が怒っているのは何だろうかと。もちろん,小学4年生が溺死したという事実,これは授業中のことであり,学校の責任を問うという意味での怒りは当然あるんですけれど,もう一方で,教育委員会の隠蔽体質があるんではないかと僕は考えます。これを読んだときもそうでした。
 何が起きたのか,これ,一番知りたいのは被害者の父兄だと思います。それが分からないまま,ずるずるずるずる日にちだけがたっていく,こういうのが不信感を募らせる最大の原因だと思います。
 今回は,第三者委員会というのを立ち上げて,第三者の立場から公正に事故の原因を検証してもらうというのが目的なんですが,これは後で聞きますが,市民からすれば,責任逃れにしか見えない。かといって,高知市教委が身内を裁くなんていうことになれば,追及は手ぬるくなる,それは当然です。そういうことで設置になったんですが,その委員会が突然非公開になりました。そうすると市民は,この検証委員会が来年の3月に報告書を出すまで,一切の情報から遮断されるということになると思います。
 教育委員会は,検証委員会の内容はその都度,被害者の父兄には報告するということをお聞きしていますが,被害者は1人じゃないんです。そこで泳いでいた36人の子供たちはみんな,その現場を見てしまったんです。そして,そのお父さん,お母さんも,その話を聞いて,子供を今後どうしていいか戸惑いの中にいることだと思います。ですから,被害者のお父さん,お母さんに報告すれば済むというものではないんです。
 小学校の関係者,おじいさん,おばあさんもいます。買物先の友達もいます。そういう人たちも真相を知りたいわけです。だって,その子を知っているわけですから,小学4年生の男の子が何でそうなったのか,これは絶対知りたいと思います。
 市が公開しない。そして,第三者委員会は非公開。警察はそもそも,警察で言うと事件になるんですけれど,事件の発生すら公表していない。そういう状況で,じゃあ,誰がその真相を追及できるのかといえば,この市会議員,高知市議会でしかないと思います。
 この辺は,僕は詳しくなかったんですが,教わったところによると地方自治法第98条には,議会は,地方公共団体の事務に関する書類を検閲することができると書いてある。つまり,皆さんは私たちに報告する義務があると,僕はそう思います。もちろん特別委員会をつくらないといけないとかという手続もあるかもしれませんが,一義的に,真相を語る義務があると思っています。
 ということで,これから質問に移るんですが,誠実に答えていただくということを,これまでも誠実に答えてきたんでしょうけれど,特に求めます。
 1つ目の課題なんですが,この第三者委員会は,いつ,誰が,どこで,どういう手続で立ち上げを決めたんでしょうか。教育長にお願いします。
●松下教育長 7月5日の事故発生以来,市長部局と教育委員会は,常に連携させていただきながら情報を共有し,協議を重ねてまいりました。
 今回の事故は,安全に行われるべき学校の授業中に起こってしまったものですので,事実関係の把握や事故原因の分析,再発防止策等についての検証は,教育委員会自らが実施するのではなく,各分野の専門家が第三者の立場で中立的かつ公平,公正に行うことが適切であると判断し,早い段階で市長が検証委員会の設置を判断していただきました。
 なお,文部科学省の定める学校事故対応に関する指針(改訂版)では,事実関係を把握するための基本調査と,事故に至る過程や原因の分析を行う詳細調査の実施が示されております。詳細調査を行う場合は,外部委員等で構成する詳細調査委員会を設置して行うことになりますことから,検証委員会の設置は指針に合ったものであると,私は捉えております。
◆伴武澄 市長が判断されたという,市長の提案ということでいいんですね。
 これ,いつ,どの会議でやられたんですか。庁議で行われたとか,お願いします。
●桑名市長 事故が7月5日に発生いたしました。1人の児童が,あってはならない,特に命が守られなければならない授業中に起こった事故でございます。これにつきましては,全庁挙げて取り組んでいかなければならないということ。そしてまた,教育委員会のほうにも,全て包み隠さず,これからの検証,調査というものはやっていかなければならないということも,指示したところでございます。
 ただ,これから検証,調査するに当たっては,やはり一番大切なことは中立性を保つこと,公平性を保つこと,それにおいては,やはり教育委員会が教員を調査するというのには限界があるということで,私のほうでは第三者委員会というものを立ち上げて,中立性,公平性を保った中で審議をしてもらうということで判断をしたものでございます。
 ただ,いつの段階かということではなくて,第三者委員会というものを立ち上げる準備をするようにということを命じまして,準備をしてまいりました。ただ,第三者委員会を立ち上げるにおきましては,やはり御遺族,御家族の方の了解をいただかなければなりませんので,いただいた時点で臨時会のほうに,皆さん方に提案をし,そして立ち上げたところでございます。
 そしてまた,この立ち上げるに当たっての根拠となるものが,文部科学省が出しております学校事故対応に関する指針(改訂版),これに基づいて,私は第三者委員会を立ち上げました。
◆伴武澄 新聞報道によりますと,翌日の6日,教育長と学校長が会見しています。そのときに,もう検証委員会という言葉が出ている。お昼のNHKニュースは,検証委員会設置へとやっています。事故が起きた翌日の昼には,もう検証委員会という名前がNHKに出て,翌日の新聞には出ています。
 ちょっとタイムラグが大き過ぎるんじゃないですか。
●桑名市長 当然,教育長が立ち上げると言っても,まだ全体的に庁議は行われておりませんでしたが,ただ,それは一般的に考えても,こういった事故が起こったときには,学校事故対応に関する指針に基づいて当然行われるものでございますので,そういった意味において,教育長としては,第三者委員会というのは立ち上げて,速やかに調査をし,原因を追求していきたいという発言があっても,それは当然であろうかと思います。
◆伴武澄 ということは,市教委として,これ以上調査しないという決断をされたんですか。教育長。
●松下教育長 先ほどの御質問の中でありました,翌日の学校長と一緒に記者会見をした中で申し上げましたのは,教育委員会が調査をする。その調査は,先ほど市長も申しましたように限界があると。それに対して,第三者委員会がこの指針に基づいて行いますということを,記者会見の中では述べさせていただきました。
 今の御質問の中でおっしゃっていただきました教育委員会がもう調査をしないのかということにつきましては,教育委員会としては,検証委員会に資料として上げさせていただく。その資料をつくるために全力で取り組んでまいりました。これまで調べてきたこと,それから事実として,教育委員会として今明らかになっていること,この全てを検証委員会に資料として提出をさせていただきました。
 教育委員会として,検証を行ったというふうに思っております。
◆伴武澄 第1回の検証委員会で,実は,冒頭から40分は公開だったんです。僕らも資料をもらいました。初めて見る印刷された,活字になった事故の経緯が書いてありました。
 あの時点で,あれが全てなんですか。それとも,もっと膨大な資料というか,説明が,僕らがその説明を聞いていたんですけれど,あ,これで終わりなのかと,紙に書いてあることだけしか言わなかったことは事実ですよね。
 あれが,それまでの持っていた全ての情報なんですか,教育長。
●松下教育長 マスコミに対して言わせていただいた言葉を使わせていただきますと,私がマスコミに対して情報を提供する際に,成熟していない情報を出させていただくことで,その情報が独り歩きしてしまったり,また結果的に間違ったことが伝わるかもしれないということを恐れていますというお話をさせていただきました。
 今回,検証委員会に出させていただきました内容につきましては,私どもの中で成熟した内容であったというふうに考えております。いろんな内容がありましたけれど,その中で成熟した内容を検証委員会に提出させていただき,それを傍聴の方にもお配りしたというのが経緯でございます。
◆伴武澄 我々がもらった資料というのは,委員に配った資料と同一のものだったと僕は思うんですけれど,あそこで見ている限り。
 その内容については,後でまた議論したいと思いますが,今おっしゃったように提出するために調べたと,今もお調べになっていると思いますけれど。
 そもそも僕,この第三者委員会に対してちょっと疑義が,この本を読んだときもあるんです。報告書ができたら解散してしまって,質問もできない,質問する相手もいなくなるような,そんな第三者委員会じゃいけないんですけれど,今回の場合は,多分年度内で解散となるわけですよね,報告書をつくったら。そういうのを,同じようにつくっていいのかという疑問があるんですけれど。
 それで,ここもいろいろ疑問があるんですけれど,事故の3日後に庁議があって,弘瀬副市長の名前で文書が配られたということを,僕はそこで聞いたんですけれど,プール事故に関する今後の役割分担と。
 副市長,ちょっとあれしていないんですけれど,これをおつくりになったのでしょうか。弘瀬副市長お願いします。それと,その内容について教えてください。
●弘瀬副市長 そのペーパーにつきましては,我々市役所職員といいますか,公務員につきましては,決まった仕事につきましては,もちろんルーチンワークとして責任を持ってやるわけでございますけれど,こうした突然の事案に対する役割分担,組織としてその事務に対して行うに当たって,その職員にそれぞれの役割を分担して,責任を持って対応していただくために,組織としてやるためにそうしたペーパーをつくって,意思確認をしたところでございます。
◆伴武澄 その文書には,第三者委員会の設置,運営ということがあって,タイムスケジュールとかが書いてあるそうなんですけれど,担当は教育委員会ではなくて,市長部局の総務部とされていたんじゃないんでしょうか。副市長,もう一回お願いします。
●弘瀬副市長 その素案につきましては,たしか日曜日,庁議の前の日曜日の晩やったと思いますけれど,そのときに関係者といいますか,我々が集まってブレーンストーミングみたいな形で,どういう形で対応していきましょうかという話をする中で,その段階では総務部も一定入って,第三者委員会の立ち上げに向けては一緒にやったらどうかという,ですから,その時点では,たしか決まってはなかったと思いますけれど,総合的にそうした事務に携われるのは総務部で,一定得意でございますので,そういうことで,一回案として出したという記憶はございます。
◆伴武澄 つまり教育委員会は当事者なんです,この事故の。責任があると何遍も教育長も言っておられるぐらい,事故に関してですよ。その事故の責任を負う人たちが,その第三者委員会の事務局を担うと。しかも,できた重大事案検証室のトップは教育次長じゃないですか。言ってみれば,教育委員会そのものじゃないですか。トップになるのが,この第三者委員会の事務の手続や資料の整理や,あるいはさっきおっしゃった事故原因につながる事故の経緯の調査もやっているわけです。
 これって,本来はおかしいことだと僕は思うんですけれど,それは市長も記者会見で何回か言及されていました。そう思うというアイデアが,どうしてあっちに戻ったのか,桑名市長お願いします。
●桑名市長 第三者委員会を立ち上げるに当たっては,議論もいたしました。私のほうからは,市長部局の附属機関として置くことも考えなければならないというふうにも思い,議論したんですけれども,今回の場合は,いじめとかそういったものとは違って,最終的には学校のプールの授業の在り方というところまで言及がされるものであります。
 ですから,その部分において,市長部局のほうがその答申をもって,また教育委員会のほうに授業についてのことを,意見を申すというのはあまりふさわしくないんではないか。やはり教育委員会,学校の中で起きた事故でございますので,学校の中で,その中では調査をし,そして第三者委員会に委ねる。しかし,それだけだと,また皆様方から中立性,公平性というものが保たれていないんじゃないかというような目で見られても,これはいけませんし,そうなっては事実いけませんので,市長部局から検証室のほうには人を送り込んで,そしてまた,そこのほうで調査をしていただいているところでございます。
 ですから,どちらに置くかというところは当然議論もいたしましたけれども,最終的に教育に係る分野の物事に答申も出ようかと思いますので,そこは教育委員会の附属機関であるのがふさわしいのではないかということで,教育委員会の附属機関といたしました。
◆伴武澄 意見が分かれるところだと思いますけれど,日弁連の第三者委員会のガイドラインによると,総務部に置いたほうがいいというような判断になる。つまり,当事者のところに事務局を置くなというのが,僕は真っ当なやり方だったと思うんですが,そうはならなかったというのが非常に残念で仕方ありません。
 これ,教育長に伺いたいんですが,今回のは3月末で解散した後,この報告書の責任はどこに所属することになるんですか。
●松下教育長 1つは,議会のほうに7月臨時会でお示しさせていただき,そして御承認をいただきましたように,現在のところ8回の会議を予定しており,それで期間的には3月末を予定しておりますが,この期間が確定しているものではなく,時間がかかれば延長しなければならないと思いますし,その手法については,また議会にも御相談をさせていただくことになろうかと思うんですけれど,3月末,これが必ずこの中で終わりますと,この中で終わらなければならないというふうに私は捉えていないところでございます。
 それで,御質問のその後の所管につきましては,教育委員会に答申をいただきますので,教育委員会が責任を持つのではないかというふうに考えております。
◆伴武澄 この本の中では,第三者委員会に遺族が不満を持っているということが問題なんですけれど,もし教育委員会がその報告に不満があったら,どうなさるんですか,教育長。
 何か修正を求めたり,ここは事実関係と違うんじゃないかとか,もしそういうのがあった場合はどうされるんですか。高知市の意向と第三者委員会の結論が,仮にですよ,180度違ったものに出てきたりした場合,どうされますか,教育長。
●松下教育長 「遠い声をさがして」,私も読ませていただきました。その中で,出てきた答申に対して疑義があり,実地体験といいましょうか,実地調査といいましょうか,2回目を行うということを,御家族の方が奔走されたということも書いてありましたので,同じ教育委員会の人間として非常に心に残ったところでございます。
 報告書が出てきた後に,報告書と教育委員会とのそごが生まれるということはあまり考えていないんですけれど,それ以外のところで何か根本的に足りなかったところとか,それから矛盾が生じているとか,そういうようなことがあった場合には,何らかの形をとらなければいけないのかなというふうに思うのですけれど,私としては今,第三者委員会に,検証委員会にお任せしているこの答申が,そのようなことにならないようにすることが私の仕事なのかなというふうに思っておりますので,そのようにお答えをさせていただきたいと存じます。
◆伴武澄 よく分かりましたけれど,では,この第三者委員会の報告って,誰のためにまとめるんですか。もう一回,教育長お願いします。
●松下教育長 これも先ほどの本の中でありました。質問議員さんもおっしゃっていただきましたように,御家族の方は,なぜこのことが起きたのか,なぜ自分の子供が亡くならなければいけなかったのか,そのことをずっと追いかけておられました。私も御家族の方とお話をさせていただく中で,全く同じことを言っていただきました。
 私は御家族に,この検証委員会の報告を通して,お亡くなりになられた児童と御家族の方にしっかりと,なぜこのようなことが起こってしまったのか,何が足りなかったのかを御報告しますと,お約束をさせていただいております。
◆伴武澄 ということは,御遺族の意向に沿わない内容だったときに困ってしまうんですよね,内容が。多分,僕はそう思います。そうならないように願いたいんですけれど。
 次は,原則公開ということについて議論したいと思いますが,市長は7月25日の記者会見で繰り返し繰り返し,この第三者委員会は原則公開で行われるということを表明していました。我々の議会に対しても,それを強調されていることを記憶しています。
 これ,非公開だったら,僕は賛成していませんでしたが,全員一致で第三者委員会の設立に賛成したんです。だから,それほど言っていたものが,実際に第1回の会合を開かれた40分後に,突然非公開になった。僕にとってみれば,突然非公開という印象だったんです。
 僕も記者をやっていたんですけれど,普通の非公開は,冒頭,写真だけ撮らすと。写真を撮り終わったら,はい,出てくださいというのが普通なんです。40分も議論を聞かせといて途中で,はい,非公開ですと。これはないだろうと僕は思いました。だから,余計落胆が大きかったんですけれど,私自身にとって。
 本当は市長,これ,公開でやりたかったんだろうと僕は信じているんです。これが非公開になったときのお気持ち,正直にお答えいただきたいと思います。
●桑名市長 この公開,非公開につきましては,まず,私が正式にお話を皆さん方にしたのが,第502回高知市議会臨時会市長説明でございます。7月30日,このときには,私,このように述べさせていただきました。
 附属機関及び協議会等の会議の公開,非公開は,本検証委員会に限らず,高知市教育委員会における附属機関等の会議の公開に関する要綱により決定し,同要綱第3条の規定に基づき,原則公開とすることとしておりますと,これはしっかり言いました。
 そしてその後,しかしながら,会議の内容が個人に関する情報を扱う場合や,会議を公開することにより公正または円滑な審議が著しく阻害され,会議の目的が達成されないと認められる場合などは,同要綱第3条第1号または第2号の規定に基づき,附属機関において非公開で開催することを決定することとなります。
 そして次に,本検証委員会におきましても,会議の内容によりまして同要綱に基づき,検証委員会において公開,非公開を決定していくことになりますので,御理解を賜りたいと存じますということで,確かに私は原則公開ということは言いましたけれども,これは記者会見でもそうですが,公開,非公開については,これはもう検証委員会,第三者委員会が判断することであるということは,私は議会でも言わせていただきましたし,記者会見でも,これは繰り返し言わせていただいたところでございます。
◆伴武澄 そうじゃなくて,市長は原則公開,もちろんプライバシーに関する部分,この部分は非公開にするというのがいっぱいあったって,別に問題ありませんよ。だけど,本当は原則公開でやってもらいたかったんじゃないかという質問をしたんです。
 だからこそ,非公開ということが決まった途端に,あ,市長も落胆しているんじゃないかと僕は想像したんですけれど,そのお気持ちを聞かせてほしいと言っているだけで,そんな過去のことじゃなくてお願いします,もう一回。
●桑名市長 私は,第三者委員会設置を決めた者でございますので,その第三者委員会の皆さん方の意見というものは,最大限尊重しなければならないというふうに考えております。
 ですから,今回,公開,非公開につきましても議論があったようでございます。要はプライバシーの問題もありますし,自由闊達な意見交換をしたいという委員の皆さん方の声もあって,この判断が決まったということでございますので,私はそれを尊重したいと思っておりますし,今も尊重しております。
◆伴武澄 全然答えていないと思うんですよ。お気持ちを聞きたいって,尊重したい,それは決まったことに対して尊重するって,教育長もおっしゃっています。
 そうじゃなくて,こういうものは原則公開でやるべきだという,その桑名市長の信念,政治信念がおありなのか,あ,もう決まっちゃったら,そうするんだと。そういうことなのかという,信念の部分をお聞きしたいんですよ。もう一度お願いします。
●桑名市長 私の思いは先ほど述べたとおり,私自身は第三者委員会というものを立ち上げた,決定した者でございますので,第三者委員会がやはり中立性を持って,公平性を確保しながらやっていくためには,どうしたらいいのかということだけを考えております。
 ですから,私は第三者委員会を信じておりますし,その決定については重く受け止め,それを尊重するということで,それが私の思いでございます。
◆伴武澄 僕の第三者委員会に対する認識は,単なる附属機関なんです。任命権はどこにあるんですか。教育委員会にあるわけでしょう。
 そもそも,これを1年でやってほしいとか,いっぱい要望しているわけじゃないですか。そういう中に,これを原則公開と言ってしまったんだから,それぐらいの要求はできたかもしれない。それを拒否したというんなら,また別問題ですよ。
 そういう信念がなくて,ただただ選んで,その人たちの意向に従うというのは,これはおかしいじゃないですか,あまりにもと僕は思いますけれど,皆さんどう考えるか分かりませんけれど,信念も持たずにやるんですかと。
◆伴武澄 ここら辺が,公開,非公開の真髄だと僕は思います。最初から非公開と言ってりゃいいんですよ。
 はっきり申し上げましょうか。この手の第三者委員会は,全国ほとんど非公開なんです。原則公開とうたっていても非公開なんです,現実的には。この京都も非公開だったそうです。
 教育長,それはお調べになりましたか。過去の学校事故で第三者委員会をやったときに公開になった例なんか,まずまれだと思うんですけれど,どうでしょうか。
●松下教育長 検証委員会を立ち上げる際に,過去の検証委員会,第三者委員会の公開,非公開については調べました。非公開のところが多かったというふうに思っております。
 ですが,私は,先ほど市長が申し上げましたように,検証委員会には高知市の,それから高知市教育委員会の附属機関のことをお知らせして,その結果,こういう形になったというふうに思っておりますので,だから,調べたか調べていないかということにつきましては,調べました。
◆伴武澄 そうだろうと思います。非公開のほうが多いんです。それを知った上で,原則公開を繰り返した市長は偉いと僕は思ったわけです。今,落胆しました,逆に。そしたら,最初から非公開と言っとけばいいじゃないですか。
 傍聴人も入れたんですよ,傍聴人も。僕は傍聴人で行きました。議員として行ったんじゃないんです。傍聴人も十何人いました。マスコミもいました。みんなの前でやるんだと。この姿勢が,ああ,すごいなと。高知方式は違うんだと。事故が起こっても,包み隠さずと冒頭におっしゃいましたよね,市長。その姿勢が貫かれているんだと僕は思いました,先月の末までは。ところが,こういうことになってしまったんです。これ以上は追及しません。
 ここは答えにくいかもしれませんが,事件の経過について多少質問したいと思います。教育長にお願いします。
 僕らが持っている資料は,検証委員会に出された数十ページの経緯だけなんですけれど,何遍も読んでいると,幾つか疑問が湧いてくることがあって,最大の疑問は,高知新聞が7月12日付で書いた「死亡男児監視,空白10分超,担任どこにおるか分からん」という記事です。
 ところが,この検証委員会に出したやつには,先生という声で教諭さんが,当該児童がいないことに気づいた。これ,全然違うわけですよ,記述と。これ,うそなんですか。
 市長は,マスコミ報道も含めて真相解明をしたいということを記者会見で述べていたように記憶しているんですが,これは無視される記事なのか,それだけ教えてください。教育長。
●松下教育長 新聞報道については把握をしております。
 そのことについて無視するのかという問いに対しましては,私は第三者委員会,検証委員会に,私どもが調べた,私どもが今持っている情報を上げ,検証委員会が円滑に進むように尽力していくというふうにお答えさせていただきたいと思います。
◆伴武澄 つまり新聞が,全く情報もなしに,取材もなしに書くような存在ではないんです。やはり誰かの証言を得ているわけです。
 僕の想像で言えば,こういうことをお母さんにしゃべったか,直接記者にしゃべったかなんです。ということは,教育委員会は十分に調べていない可能性があると,僕は思うんです。
 ここは認めるはずがないと思っていたんですけれど,プール,準備体操をやって,いろいろやって30分後か,10時40分ぐらいから,得意な子は北側で泳がせたと,不得意な子は北西のほうで練習をしたと。
 これ,不得意と得意の違いはどういうふうに分けられるんですか。つまり何メートル泳げるとか,例えば不得意は,顔もつけられない子もいっぱいいると思うんですけれど,この得意と不得意に分けた境目の根拠を教えてください。教育長。
●松下教育長 検証委員会に提出させていただきました資料の中で述べておりますが,今回,長浜小学校のこの授業の中で,得意な子供,苦手な子供,これを分けたのは,子供たちが自分で選んだということを,私たちは調べております。
 ですから,子供たちが自分の意思で,25メートル泳ぐか,それとも基礎的な練習をするのか,それを選んだというふうに,私どもの調べではできております。
◆伴武澄 確かにそう書いてありました,子供の判断で。これも,ちょっといいかげんだと思うんですけれど,君はまだ十分じゃないからこっちに行きなさいって,普通はそういうふうに指導するべきだと思うんですけれど。
 少なくとも,36人のうち何人が不得意だったんでしょうか。教育長。
●松下教育長 これも資料の中で書かせていただいておりますが,20人以上という書き方をさせていただきました。
◆伴武澄 以上というのはよく分からないんですけれど,そうすると,現場の状況が分からないわけです。
 北西のほうで,蹴足から始まって,ばた足をやらせていたときに,教諭AとBが付き添ったわけでしょう。ほいで教頭先生はプールサイドから,うまい子たちを,得意な子を見ていたと,そういうふうに書かれていますでしょう。それで,女子をまずやったと。
 女子と男子の人数の差,人数を教えてください。
●松下教育長 ここにつきましては,検証委員会のほうで検討されるというふうに考えておりますので,申し述べることを差し控えさせていただきたいと思います。
◆伴武澄 二十数人,いいかげんと思いませんか。
 男女の差も分からない。つまり僕が勝手に想像したのは,20人ぐらいの不得意な子が男女半々いたら,10人ずつだろうと,10人ずつ。それを最初女子にやらせて,次に男子に入れと言って,そうすると10人の子供に対して,36人に3人しか監視がいなかったというんで,それは少ないという議論が横行しているんですけれど,僕はそう思わないと。泳げるやつは,大して監視する必要もないし,安心して見ていられる。泳げない子だと,問題は。
 それで,10人に2人つくというのが多いか少ないかというたら,僕はそれ十分だと思うんです。5人の子を面倒見ればいいわけですから。これが,男子のほうが15人いて,女子が5人だったら,問題なんです。だから聞いているんですけれど,答えられないんですか,そんなことも。もう一回お願いします。教育長。
●松下教育長 私どもとしては,検証委員会に資料として上げさせていただいた内容について,議会の中でもお話をさせていただきたいと,そういうふうに考えております。
◆伴武澄 検証委員会には何人って報告しているんですね,教育長。
●松下教育長 中のことにつきましては,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
◆伴武澄 報告しているか,していないかも言えない。内容を聞いているんじゃないんです。したかどうかということを聞いているんですけれど,それって答弁拒否じゃないですか。もう一回お願いします。教育長。
●松下教育長 私が検証委員会に出した資料の中のことについて御答弁をさせていただきたいと思いますので,そのことについては差し控えさせていただきたいと思います。
◆伴武澄 何度言っても答えていただけないんだけれど,これは絶対事故の原因とかと,あまり関係ないことだと僕は思うんですけれど,人数なんで。そんなことすら僕たちに教えてもらえないなんて,本当に残念です。
 じゃあ,第1回目の授業のときは隣同士バディーを組ませて,これ,基本らしいじゃないですか,水泳教室でも。1人がいなくなったら困ると,2人でいつも確認し合えよって。
 ところが,3日目の事故当日はそういう表記がないんです。3日目はみんな上手になったから,もうバディーを組まなくていいのか,よく分からないんですけれど,これも答えられないんですか。バディーを組んだかどうか,3日目。教育長お願いします。
●松下教育長 検証委員会に提出した資料のことが,今私どもが責任を持ってお答えできることでございますので,お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
◆伴武澄 じゃあ,一般論で言いますけれど,けのびというのは,僕の想像では,プールサイドを蹴るじゃないですか,子供が。顔をつけてここまでいらっしゃいと先生がこっちで待ち受ける。こういう理解でいいんでしょうか。
 それで,けのびばた足はそれがもうちょっと長くなって,蹴るだけじゃ届かないところへ来て,ばた足をさせると,そういうことでよろしいんでしょうか。教育長。
●松下教育長 一般的にけのびとは,先ほどおっしゃっていただきましたように,プールの壁を両足で蹴り,腕を前に伸ばして伏せて浮きながら前進する運動のことを言っております。
 けのびに合わせてばた足する運動を,けのびばた足という呼び方でしております。
◆伴武澄 その際1対1で,何々ちゃんいらっしゃいって普通はやりますよね,授業の方法。生徒に受けさせるなんていうことはあり得ないですよね,だって,不得意なんだから。不得意な子が,足もつかないところで受けられるはずもないと。
 そうすると,1人が5人見ていたと仮定したら,1人ずつこっちへいらっしゃいと,あとの4人はそっちのプールサイドにつかまっているはずなんです。
 プールの事故でよく言われるのは,みんなばちゃばちゃしているから,水の底が見えないことがあると,これ,よく分かります。だけど,1人しか泳いでいない場所で,問題は,けのびのときから教諭Bは当該児童を認識していないというんだから,え,いつ沈んだんだ。しかも,一番浅いところにいたはず。でも10人並んだら,深いところの子もいるわけです。分かりますか。10人並んだら,25メートルプールの半分ぐらい使っちゃうことになるかもしれない。
 そうすると,深いだの浅いだの言ってられないわけで,20センチメートルも違うわけですから,という疑問が当然湧くわけです。見つかったのは,一番深いところの近くだったそうですけれど,これは書いてあります。もし一番浅いところにいたんだったら,そこまで十数メートルあるはずなんです。これを泳げない子が,行けるはずがないわけで。というと,深いところでやらせていたという疑いが出てくるわけです。素人ながら,何遍も読んでいると,そんな気分にさせられるわけです。それぐらい,この報告書って空白がいっぱい,まだいっぱいあるんです。
 この事故の経緯についてはもう言いませんけれど,記者会見で市長がいろいろおっしゃっていて,その数日前に開かれた総合教育会議で教育委員から,学校の常識は社会の非常識だと言われたことに対して重く感じるとおっしゃっていますし,現時点でもっと議論があってよかったと思う。どっかで検証していれば防げた。安全対策を講じていれば問題なかったと言っていますけれど,あるべき議論とか検証とか,具体的に何を指しているんですか。プールの深さとか,中学校でやったとか,これ,具体的に羅列していただけませんか。教育長。あ,市長でもいいです。
●桑名市長 多分,7月25日の記者会見の記事を読んでの話だと思います。
 あるべき議論というのは,その当時のことでお話をさせていただきますと,協議が,学校側と教育委員会側があったのかということが問われました。私は,協議はあったということを言いましたが,記者のほうが,協議はなかったというふうに言っておりました。
 そのときに議論になったのが,あるべき議論というところの話なんですけれども,今回の事故というのは,決して長浜小学校の校長先生が,勝手に中学校でプールの授業をしたわけではございません。当然,教育委員会のほうに相談をいたしました。教育委員会としても,長浜小学校のままプールは使えないだろうかということで,浄化装置が悪ければ塩素を入れるというようなことも検討したんですけれども,その後の協議がやはり不十分であった。もし中学校のプールを使うのであれば,もっと安全性に気を配った議論があったほうがよかったんではないかというような意味で,私が答えたあるべき議論というのは,そこの部分でございます。
 ただ,それは7月25日の段階でございましたので,私のある一つの思いであったんですけれども,今は検証委員会のほうに場は移っておりますので,そのことは,その当時のこととして受け止めていただければというふうに思います。
◆伴武澄 ちょっと時間がなくなってきちゃったんですけれど,最後に,検証委員会に委ねたものの,例えば,最初の第1回の会合でも違う委員が言っていたんですけれど,途中経過を発表するとか,そんなような発言もあったんですけれど,それを全部,委員長が非公開って決めちゃったんです。その議論もなかったんです。だから,普通だと毎回終わった後に,どういう議論があったかということを記者発表するとか,それぐらい僕はあったっていいと思うんです。そしたら,それなりに,何を今どういう段階にこの検証委員会が来ているのかとか,市民が分かるわけじゃないですかと,少なくとも。
 それからもう一つは,中間報告です。これもあり得ると思うんです。これについても全然言及がないわけで,やらないとは言っていないんです,あの委員長は。今さら,これを公開にする,原則公開にすると戻すのは難しいかもしれないけれど,少なくともそれくらいは言えると思うんです,任命権者の立場から。ぜひお願いしたいんです。市長どうでしょう。最後に。
●桑名市長 公開,非公開というのは,私も先ほどから申しておりますとおり,やはり第三者委員会,検証委員会は中立性,公平性を保っていかなければなりませんので,私のほうから申すことはありません。
 ただ,中間報告とか議会のほうに報告すべきこと,案件があるようなこと,また検証委員会のほうから,これを報告してくださいというようなことがあれば,当然報告しなければなりませんが,全ては検証委員会の判断に委ねていきたいというふうに考えております。
◆伴武澄 要請はしないということですね。第三者委員会にもう全部げたを預けてということのようですので,残念ながら,落胆感が増してきた質疑となりました。
 やっぱり指摘したように,この第三者委員会,実は最後が重要なんです。お願いですから,これに書いてあるように,調査資料を焼却するなんていうことを絶対しないでくださいよとお願いして,質問を終わります。ありがとうございました。