10月末、高知市議会議員と芳賀・宇都宮ライトラインを視察した。2023年8月に運転を開始したばかりの市電だ。宇都宮市と隣接する芳賀町にある工業団地との間の渋滞解消が目的で、総額684億円を投じた地方では巨大交通プロジェクトといっていい。総延長14.6Km、停留所19カ所。我がとさでんの市電の24Kmの3分の2の距離。3両編成の真新しい車両が約10分間隔で走る。運賃は150円から400円。運賃と運行間隔はとさでんとほとんど変わらない。

 いくつか違いがある。まず、車両や軌道の維持管理は自治体、そして運行だけを担う宇都宮ライトレールとの役割分担。上限分離方式という。とさでんはすべて一つの会社で運行している。赤字分は補助金で賄われる。もうひとつは、利用カード。totraは関東バス、JRなどほかの交通機関と連携して乗り継ぎ割引などが行われる。そして、市内であれば、日中の利用に限り上限400円で済む。

高齢者への特典として70歳以上の宇都宮市民は、年間1万円相当のポイントがもらえる。宇都宮市の高齢者すべてがtotraを持っていれば、財政負担は推計約7億円。高知市でもぜひ導入してほしい。7億円といえば、とさでんの市電の年間営業赤字に匹敵する。赤字の穴埋め額相当といっていい。1万円のポイントをもらった高齢者は必ずその数倍の運賃を支払ってくれるだろう。ポイント付与と補助金とは同じ金額でも効果が違うだろうと考える。どうだろうか。