2024年6月18日 高知市議会個人質問

◆(伴武澄君) 市民クラブの伴武澄でございます。
 通告どおりにはしゃべらないかもしれませんが,順番が違ったりするかもしれませんが,よろしくお願いします。
 4つ課題があるんですが,最初は公共交通の問題で,先ほども山根議員から質問がありましたけれど,バスの運転手不足。僕自身は去年の選挙で公共交通を何とか守らなきゃいけない,とさでん交通を守ろうという運動をやっているんですが,そのときは会社の経営が存続できないんじゃないかという危機感があったんですけれど,去年あたりから議員になってみると,実はそれより深刻な運転手不足というのがあると,2024年問題というのを,これも知りませんでした。4月1日からトラックやバスの運転手の労働時間が大幅に削減される。
 これ実は働き方改革の一環としてなされた措置なんですが,実は私,経済部の記者を長年やっていまして,日本経済の矛盾っていうのは,本給が低いんです。つまり超過勤務をして初めて人並みの生活ができる,そんな賃金体系なんです。それがずっとずっと来て,つまり長時間労働が解消されると,嫌な人たちがいっぱいいるわけです。長時間労働でようやく生活を支えている人たちがいたんです。
 ところが,この長時間労働解消,働き方改革という,そういう面から批判されたことはないんです。いいことだ,どんどんやれと。現実にその日が来てしまったんです。
 そして,その1か月後に,突然僕らも新聞で知った,情報を。とさでんバスは十数%減便せざるを得ないと,今月6日の日に市議会のまちづくり調査特別委員会が開かれて,市の当局から高知市地域公共交通会議の内容の報告がありました。
 その内容の報告というのは,とさでん交通が減便をすると打ち出した会議なんです。それを基に記事が書かれているわけです。その報告が,一切僕ら市議会にもないわけです。実は2月にも開かれていたんです。
 2月にも相当な危機感が伝わる文書が,その6月5日に僕らにいただいたんですけれど,皆さん読まれましたでしょう。そういう報告,僕らは危機感を共有して何とか対策を打っていかなきゃいけないという思いを持っているんですけれど,どうしてそういう窮状が訴えられたのに僕らに伝えなかったんですか,市民協働部長に伺いたいと思います。

◎市民協働部長(中城純一君) 本年2月に開催した高知市地域公共交通会議では,とさでん交通からバス運転手数の推移や路線バスの利用状況,運転手不足による大幅なバス路線の減便等のお話がありましたが,この段階では具体的な路線の見直しについて,正式な形での提示をいただけておりませんでしたので,まちづくり調査特別委員会等,議会への報告を行っておりませんでしたが,議会の皆様にも現状をお伝えしておくべきであったと考えております。
 その後,本年3月定例会の中で,全国的な社会問題の一つとなっているバス運転手不足の状況等につきましては,とさでん交通も非常に厳しい状況に置かれており,現状のままでは10年後の危機を回避することが厳しいものの,抜本的な改革案には至っていない旨,お答えをしたところでございます。
 御指摘いただいておりますように,地域公共交通の問題は,市民の皆様への影響も大きく,まちづくりを進める上で重要な案件でもありますので,今後におきましては,より丁寧に議会へ御報告をさせていただき御意見も頂戴したいと考えておりますので,よろしくお願いをいたします。

◆(伴武澄君) 今後,より丁寧にしたいと,そういう答弁が多いんです。先ほども,ここにメモしたんですけれど,大変申し訳ないと,今後は善処したいみたいな話ばっかりで,危機感が僕必要だと思うんです。自分の所管する部署でこういう問題が起きているんだと,そうなったときには,必ずその部署だけじゃなくて,上の部長なり市長に当然伝えるわけでしょう,その危機感を。これどうしましょうかと,それが行政マンの本当の姿だと僕は思うわけです。
 つまり,危機感を感じないから伝えないんだと。もう一度市民協働部長に対して,危機感をお持ちだったんですか,その2月の段階で。

◎市民協働部長(中城純一君) 運転手不足のほうが当然深刻化をしておりましたので,我々としましては危機感を持っておりました。

◆(伴武澄君) そしたら,桑名市長にその危機感を伝えましたか。

◎市民協働部長(中城純一君) 市長等にも状況については御説明はさせていただいております。

◆(伴武澄君) その2月の会議での議事録を読ませてもらって,とさでん交通の労組の白木委員長の言葉があまりにも衝撃的だったんで,読みます。
 全産業との基本給比較等でいいますと,一般の仕事ですと,月31万円ちょっと。私どもの労働組合の実態調査でいきますと──つまり私鉄労連ですね──27万円ちょっと。とさでん交通でいうと,もっともっと少ない21万円ちょっとという実態。
 もちろん,これは基本給だと思います。でも,平均ですよ。六十何歳の人もいる,五十何歳の人もいる会社の基本給が21万円なんて考えられますか。そういう実態は当然知っておられたと思うんですけれど,この賃金について市民協働部長はどうお考えなのか,過去どう思っていたのか,今どう思っているのか,ぜひ説明してください。

◎市民協働部長(中城純一君) 高知県統計分析課が毎月公表しております毎月勤労統計調査地方調査の,令和6年3月における30人以上の事業所規模の県内全産業の所定内給与額は24万9,000円のところ,とさでん交通労働組合の白木委員長が発言されたとさでん交通の給与額は21万円となっており,他の産業と比較しましても,低い水準にあることは認識をしてございます。
 また,とさでん交通の試算では,同社の平均給与額を県内全産業の平均給与額まで引き上げるには,年間2億7,000万円程度の資金が必要であるとされております。
 とさでん交通では,公共交通部門の赤字を,その他の部門の黒字でカバーしながら,全体として黒字幅を大きくすることで,段階的にベースアップを図っていけるように努めているとお伺いをしております。
 現在も,その前におきましても,とさでん交通の賃金,やはり低い水準にあるというふうに認識をしてございます。

◆(伴武澄君) 前にもここで発言したことがあると思うんですけれど,僕は東京で記者をやっていまして,2011年に帰ってきまして一番衝撃的だったのは,僕の年金のほうが普通に働いている人より,若い人ですよ,ずっと高いということなんです。僕は別に普通の年金です,厚生年金。多分会社を辞めた方,皆さんも辞められると地方公務員の共済年金をもらうことになると思います。国家公務員の方もいますが,それはもうちょっと高いんです,厚生年金より。その高い低いを言っているわけじゃないんです。高知の平均的な付き合っている人たちの給料が,手取りが15万円あればいいほうだと,僕24万円近くあったんです。これずっと長く続いていたんだろうと思います。
 それで,今,中城部長がおっしゃっていた毎月勤労統計で24万円あると,24万円。とさでん交通は21万円です。15%も低いんです。そういうのをずっと知ってて,何とかしなきゃいけない。これ運転手不足決まっている。去年,僕が調査したときも,運転手不足でこうなると,10年後にはもうバスの運転手はいなくなるんだと,去年でもそうだと。そのときはこんなに賃金が低いとは思わなかった。低いということは知っていても,初任給ぐらいしか知らなかった。初任給が18万円とかで出ているんですから。
 それで,今年4月からみんな結構,賃上げしたじゃないですか。四国銀行も,25万円か26万円に上げたんです,来年の採用から2割上げたそうです。よく上げれるねと言ったら,いやもう今まで上げていないからなと。
 でも,この会社,上げる余裕すらないじゃないですか,どう考えたって。ほかの部門での収益で賃上げの原資を稼ぎたいなんていうレベルの話じゃないじゃないですか。
 僕はほかの会社のことは全く知らないんですけれど,1月にびっくりしたのは,広島バスが大幅賃上げすると,初任給。そしたら,数日後には伊予鉄まで上げると。そこら辺の実態は調査されているんでしょうか,市民協働部長。

◎市民協働部長(中城純一君) ただいま御紹介をいただきました広島バスでは,令和6年3月から初任給を3万4,500円アップし,また,伊予鉄バスにおきましても,6年1月から基本給を5%引き上げるベースアップを実施するとともに,初任給を1万7,000円アップしております。
 そのほか,西鉄バスでは,令和6年4月から平均で月額1万2,800円の賃上げ及び初任給1万3,000円アップを実施しており,また,両備バスでは,5年4月から平均で月額1万5,400円の賃上げを実施するなど,各社とも様々な処遇改善に取り組んでいると承知しております。

◆(伴武澄君) 引き続き同じことをちょっと聞きたいんですけれど,それができる企業とできない企業の違いは何なんでしょうか,市民協働部長。それができるバス会社と,高知のようにどう逆立ちしてもできそうもないのか,できるのか,それなりにその自治体が助成金を大幅に積んでいるとか,そういう話でもなさそうなんですけれど,ちょっと答えていただけませんか。

◎市民協働部長(中城純一君) ただいま説明しました会社などは,やはり大きな都市部の会社になっておりまして,やはり会社の規模であったりとか,それから経営状況,それがとさでん交通とは違っている部分ではないかというふうには思います。

◆(伴武澄君) これが実は大変な壁だと思うんです。我々も危機感を持たなきゃいけないんだけれど,上げようにも,3万円だとか,1万何ぼとか,これ初任給の話です,今おっしゃっていたのは。ということは,もっとみんな上がるわけですよ,下から。
 どうしたらいいのか,だけど解決しないと,どんどんどんどんとさでん交通に入って二種免許を取った人はすぐ辞めちゃうんです。定年退職で辞める人の何倍も自己都合で辞めているっていう事情ですよね。ということは,運転手を続けることは,しているかどうかは別として,ほかに転職しているとしか考えられないんですけれど,そこら辺はお調べになっていますか,市民協働部長。

◎市民協働部長(中城純一君) 自己都合退職の方の新たな就職先については把握をしておりません。

◆(伴武澄君) それ以上は言えないんでしょうけれど,想像に難くないです。皆さんそう思いませんか。その後食わなきゃいけないんだから,ほかの仕事している人もいるかもしれないけれど,特技は免許なんだから。
 それで,去年のというか,今年になっての近隣バス会社の初任給アップを見ていると,そこへ行ったとしても不思議がないと,これは僕の勝手な想像ですけれど,誰が考えたってそうでしょうと。隣の県の伊予鉄が5%アップした。しかもあそこは週休3日を入れたんです。日本では本当に珍しい企業です。
 今日も日経新聞のトップ記事は,ドイツで進む週休3日,日本では伊予鉄グループと書いてある。2本目の見出し,皆さん見た方もいると思うんです。それくらい進んでいるということは,1日当たり,1時間当たりの単価が物すごく高いんです。
 今さらそれを,でもどっかから原資をひねり出さなきゃいけないわけです。これ頭をひねってくださいよ。お金出してくださいよ。じゃないと,本当に5年後にバス運転手がゼロになってしまいますよ。今上げなければ,みんな行っちゃうんですから,いなくなった後に上げたって駄目なんです。いなくなっちゃうんです。そこら辺のことを総合的に市長にお答えいただきたいと思います。

◎市長(桑名龍吾君) 先月開催いたしました高知市地域公共交通会議の中でも,とさでん交通から,路線バス,高速バス,貸切りバス全体の運転手数の推移予測が示され,令和5年の178人から,20年には32人まで減少する厳しい見込みが報告をされました。
 バス運転手の不足は,これは本県だけではなく全国的な課題ではありますが,とさでん交通としましても,こうした慢性的な運転手不足に対応するため,今年度から新たに高知県内のバス会社の合同説明会におけるバス運転体験の実施や,高校生を対象とした会社説明会を開催するほか,社員一律のベースアップの連年実施や,大型二種免許取得への支援を継続するなど,様々な運転手の確保策を今講じているところでございます。
 このたび,高知市地域公共交通会議の下に,地域公共交通リ・デザイン分科会を設置し,真に持続可能な地域公共交通の在り方について検討することとしておりますので,この分科会を中心に,県やとさでん交通などの関係者とも,運転手の確保につながる支援策を検討するとともに,運転手の規模に応じた公共交通のスキームづくりや,デマンド型乗合タクシーやコミュニティバスなど,様々な交通モードを組み合わせた移動手段の確保策についても,より具体的な検討を進めていかなければならないと考えています。

◆(伴武澄君) デマンドバスもコミュニティバスも,運転手が要るんです。運転手が足りないというときに,デマンドバスやコミュニティバスで対応したいというのは,答えにならないわけです。問題は,賃金なんです。さっき言った21万円という基本給が,平均ですよ。世の中で,人の安全を預かる運転手がこんな賃金で働かされて,よく僕は本当に仏様を拝むように,それ以降,毎朝電車に乗っています,ありがとうと,そんな安い賃金で。皆様も乗ったとき,感謝してやってください。だけど,本当にこれじゃ続かなくなった。
 僕,先月熊本に行ったんです。熊本にも市電があるんです。あそこは市の直営なんです。どこも運転手不足です。休みの日だったんですけれど,超満員なんです。外国人もいて,あそこはTSMCでしたっけ,台湾の企業が来て,もう大変な。ちなみに国際線,日に4便飛んでいるんです。台湾2便,往復。つまり,往復というと8便ですよ。1時間ごとに出たり入ったりしている。
 それぐらい外国人も来ているし,ともかくびっくりしたのは,市電が満杯で,ほとんど乗れない状態。ということは,これ増便しないといかんだろうと僕は考えたんです。増便するには,運転手が要るだろう。はたと僕はひらめいて,あっ高知はまた電車でも運転手の草刈り場になる可能性があるぞと。今,日本経済は結構いい感じで人不足になっているじゃないですか。高知にはまだ十二分に来ていないと思いますけれど,中堅都市にはごんごん来ているわけです,人不足。本当に日本企業がテイクオフしそうな時期が,これは高知にも1年以内に僕は来ると思います。
 僕が出入りしているはりまや橋商店街というところ,2軒土地が売れて,壊してビルを建てるそうです。今まで一切動かなかったところに,少なくともあそこで二,三十店舗がありますか,そこで2つも売れた。奇跡のようなことが起きている。ということは,誰かが買って,買うっていうことは,それを貸す,そしたら商売になりそうだという右肩上がりの予測を持たない限り誰も買いませんけれど,あの高知の一番外れの中種でもそんなことが今起きつつあると。こっちのもうちょっと中心市街地の中心街だったらもっと起きてもいいかもしれない。
 高知以外はもっと来ちゃっているわけです。それはたまたま熊本で体験したんです,これはやばいぞと。電車の運転手も連れていかれちゃうかもしれないというような危機感は,私は持っています。
 最後にお聞きしたいんですけれど,これもニュースで知ったことですけれど,三重交通というところは,四日市市の消防と,OBになったときにバスの運転手をしてくれるようにといって契約を結んだという。これは多分,60代過ぎた後の10年間をやってくれということだと思うんですけれど,年金が当然発生するわけですから,プラスその安い賃金だけれど,やってくれないかと,こういうことだと思うんです。
 いろいろな形での運転手の供給策があると思うんですけれど,数が圧倒的,毎年10人以上採用しないと駄目なんです,高知の場合。百何十人要るんです,不可欠なんです,運転手が。当然定年で辞める人もいるわけですから,そうしないといけないです。いろんなところに手を打って,お願いしますと,そういうお気持ちはありませんか。市長お願いします。

◎市長(桑名龍吾君) 様々な御意見をいただきましてありがとうございます。本当にとさでん交通の問題というのは,これまで経営の問題というところから,運転手不足という,人不足というフェーズが変わってきたところに,またこの難しさがあろうかと思います。
 ただ,先ほど来言われているように,確かに賃金が安いんですけれども,賃金だけで果たして今,運転手が少なくなっているのかっていうこともしっかり調べていかなければならないと思っております。
 当然,賃金というのは上げていかなければなりませんが,そしたら本市として,これまでも相当な多額の補助金というものをとさでん交通さんには出してきて,そしてまたこれから上げるとすれば,先ほど市民協働部長が言われましたように,2億円から3億円ぐらいの,また追加のお金も毎年繰入れていかなければいけないということは,なかなか現状では,財政上,本市としても厳しいというのは,私は思っているところでございます。
 ただ,どうにかこの運転手不足というのは解消しなければいけませんが,先ほど言いましたコミュニティバスというのが現実的なものなのかどうなのかっていうのは別として,今のこの路線バスの運転手さんというのは本当に,賃金が安い上に労務状況というのが,拘束時間も長くて大変である。でも,もしコミュニティバスの1本線だけだったら,そこにまた新たな運転手さんという,パート的な運転手さんも入ってくるというようなこともあって,ただ運転手さんの給料を上げて正社員を増やすっていうだけではなくて,いろんな方面から働き方の自由さとか,いろんなものも含めて運転手というものの魅力っていうものも高めていくっていうことも併せて考えていかなければならないのかなというふうに考えております。
 先ほど三重交通のお話があって,いろいろ退職した人をということでございますので,当然本市としても,高知市の消防局の皆さん方が退職されるときには,大型一種の免許を半数以上の人が取得をしているということなので,退職するときには,そういった運転手さんになりませんかということも,当然これはやっていかなければなりませんし,そのバスの運転っていうものの,今の苛酷な状況の中,安い賃金であるということをどう見直していくのかということも,根本的に考えていかなくちゃいけないかと思っています。
 私の情報であれなんですけれども,バスの運転手さんを辞めて次どこへ行っているかといったら,やっぱりトラックなんかにも行っている部分があるんですよね。バスの運転手が給料がいいからといって,本当にそこに全てが行っているのかとは違って,もうちょっと自由度が利く職種に変わっていっているということも考えながら,あらゆることを考えてやっていかなければならないと思っておりますが,当然,伴議員が言われるように,給与の面も改善していかなければなりませんが,それを市が全て見るということは,これから,それも県とも相談しながらですけれども,皆さん方の御理解も,これは賜らなければいけないのかなと思っております。

◆(伴武澄君) これはもう僕の意見として最後に言いますけれど,さっき言った業界水準,平均27万円と,白木さんの言葉,21万円,3割安いんですよね,3割。この差は,ちょっと賃金の問題だけじゃないっていうような,レベルじゃなさ過ぎるぐらい低いという認識を持っていただきたいと僕は思います。
 市に出せなんて言っていませんけれど,どうしたら工夫できるのか,いや,もちろん県も出せよと,場合によっちゃ値上げしてもいいかもしれない,運賃を。でも,そういうのも含めて,僕は運賃値上げは大反対ですけれど,運転手のためならしょうがないだろう。今みんな賃金が上がっていく中で,この低いのがたとえ1割上がったって,低いところから1割ですからね。これは高知から人がいなくなりますよ,本当に。運転手だけじゃなくて,と僕は思います。
 この問題はここで終わります。
 もう一つ,これは本来なら本年度で終わってしまう事業だったらしいんですけれど,春野の漁港で,僕この間,マトリックスみたいなのを勉強会で頂いて。いつ頃お金をたくさん使ったかと,高知市がね。やっぱり1990年代の後半,かるぽーとを造ったり,国体もあって運動場を整備したり,相当数百億円規模のが幾つかできている。そのときがピークだろうと,亡くなった市長の時代ですけれど,ああそうかと。
 そのお金の規模からすると,この春野の漁港って20億円なんです,基本的に。ぽっと見過ごされて,去年までもそこに堤防を造ることは知っていましたし,説明も受けて,僕も農業委員会というか,農林水産部も担当していましたから,説明を受けて,何の疑問も持たなかったんですけれど,さすがに見に行ったんです。あっここがそうかと,海に巨大なコンクリの壁がある。あそこの新港と同じです──のミニ版がある。そこへ船が,漁船が4つ5つしか浮かんでいない。それで,それはどうしてやるのかって意味が分からなくなってきて,春野漁港ってそもそも利用状況はどうなっているのか,この説明をしていただきたいと思います。

◎農林水産部長(宮地邦彦君) 本市におきまして,機船船引き網漁業によりますドロメ漁は,主力的な漁業でございまして,春野漁港はその拠点の一つでございます。
 御質問にありました春野漁港の利用状況につきましては,現在,春野町漁協所属の漁業者3経営体が春野漁港を拠点に操業し,乗組員あるいは陸上作業員として15名が漁業活動に従事されておられます。
 また,3社の水産加工業者が漁港内で競りに参加しておりますほか,高知県漁協所属の浦戸地区及び長浜地区の漁業者につきましても,春野漁港近辺の海域で漁獲があった場合の荷揚げ作業をする施設として御利用いただいておるところでございます。
 このうち,主に春野漁港を拠点とされております春野町漁協所属の漁業者の水揚げの状況につきましては,機能強化事業に着手いたしました平成27年当時は,6経営体が操業しておりまして,約120トン,6,600万円余りの水揚げでございましたが,近年の令和5年には,3経営体での操業となり,水揚げにつきましても約17トン,1,360万円余りと大きく減少している状況でございます。
 この減少の理由といたしましては,漁獲量の多かった経営体の廃業による減少に加え,燃油高騰による出航の見合せ,さらに黒潮の大蛇行の長期化などによりまして,海象条件の変化なども影響しているものと考えております。
 また一方で,春野漁港の区域内の土地の有効活用策といたしまして,令和元年度に民間事業者によります,スジアオノリの陸上養殖施設も誘致しておりまして,こちらの生産,販売につきましては順調に推移しているとお聞きをしております。

◆(伴武澄君) 平成27年,6経営体が今,3経営体,半分になった。半分,100が50になったんじゃなく,6が3。つまり工事を始めるとき,もう既に6経営体しかいなかった。その経営体を支えるために,20億円の工事をやろうという話になったんだと思うんですけれど,この機能強化って具体的にどういう工事をするんですか。

◎農林水産部長(宮地邦彦君) 春野漁港施設の機能強化工事につきましては,土佐湾からの波浪を防ぎ,漁港内の泊地,また荷さばき場などを保全することで,漁業活動の維持発展によります水産業の振興を図ることを目指しております。
 この事業の対象となります防波堤につきましては,外海に面して設置されておりますため,近年の波高増大などの自然環境の変化により,ほぼ毎年のように消波ブロックの飛散など被害が発生しておりましたことから,これまで災害復旧工事による原状回復工事を行っておりましたが,そうした形ではなく,より大きな波に耐え得るよう新たに設計を見直し,堤体の拡幅やかさ上げなどを行うとともに,消波ブロックをより大型のものへ入れ替えることで防波堤を強化し,漁港施設の被災防止を図ろうとするものでございます。

◆(伴武澄君) 防波堤の強化,厚みを増すのと,テトラポッドですね,これの大型化ですよね。僕も見てきてびっくりしたけれど,先っちょがなくなっているんです。テトラポッドが丸い石になっちゃった。それが波を消す効果がもうない。それが今交換されていて,地元の人に聞くと,元は春野の漁港っていうのは,新川という川にあった。それが昭和50年代,僕なんかが働き始めた頃ですけれど,行け行けどんどんで,農水省がどんどん港を造れと,漁港を。それで外海に造ったんです。
 今もあそこの問題は,もともと砂浜ですから,横から入ってくるときに,入港するときに,その砂浜がいっつもたまるから,時々しゅんせつしないと船が通れないという,言ってみれば僕は瞬間的に,そもそも欠陥的漁港,毎年しゅんせつしないと通れないようなところに,砂浜に造っちゃったと。長年あった新川にあれば,そんなこと必要ないわけです。しかも,太平洋の荒波の直撃も受けるわけじゃないから,テトラポッドが破壊されるほどの破壊力はもうないです。
 国の政策に乗っちゃったのが運の尽きで,造ったものの,すぐまた改修しなきゃいけないと,僕はそういうふうに理解してしまったんですけれど,その造ったときは往々に20億円かかったかどうか知りませんけれど,数十年後に抜本的にその何倍もの20億円かけなきゃいけなくなったと。ここら辺のさっきも言った3経営体のために20億円というような,その意味が僕は分からなくて,農林水産部長にそこら辺の意味をちょっと説明してほしいんですけれど。

◎農林水産部長(宮地邦彦君) 機能強化工事を実施しております防波堤につきましては,波の勢いを和らげ,漁港内を静穏に保つことで安全な漁業活動を行うための機能を有しております。
 仮にですが,機能強化工事を実施しなかった場合,台風等の波浪のたびに防波堤は大きく被災し,漁港としての機能が失われ,船舶の停泊や漁獲物の荷揚げなどが困難になるなど,現在営まれております漁業活動の大きな支障となるおそれがございます。
 先ほど申し上げましたが,春野漁港での水揚げ状況につきましては,減少傾向にありますものの,春野町漁協所属の漁業者,3経営体には後継者がおられるともお聞きしております。また,高知県漁協所属の漁業者の利用など,将来に向けた漁港の継続的な利用も見込まれることから,本市水産業振興の観点からも,春野漁港の機能を強化し,維持していくことが重要であると考えております。

◆(伴武澄君) 破壊されると,経営ができなくなると。今おっしゃっていた3経営体の年間の水揚げが1,300万円,水揚げですよ。経費を引いたら,多分3分の2が収入だと思います。3人の収入は700万円とか800万円,つまり3経営体で15人いるんでしょう。15人で割ってごらんなさい。幾らになるんですか,一人頭。800万円,900万円でもいいですよ。15人で割って,計算できないぐらい小っちゃな数字だと思いませんか。そのために20億円っていうのは,結果的に減っちゃった。一人頭幾らになっているんですか,一人頭。
 逆に言いたい。20億円稼ぐために何年この3経営体が働かなきゃいけないかと考えただけで,気が遠くなりそうになる。何十年でしょう。こういうのが何かすっと20億円ぐらい,僕の気持ちの中でもすっと通り抜けてきたんだけれど,今回は通り抜けなかったんだ。
 ある質問をした,完成後,もしこの3経営体がいなくなったらどうなるのかと。つまり受益者がいなくなった場合,国が半分,そして県が3割,20億円の高知市負担はたった4億円なんですけれど,その残りの16億円を普通は返さなきゃいけないと,使わなくなったら。これが補助金の制度なんです。使うためにある。それは当たり前でしょうと。ただの工事をやって土建屋がもうけるだけなら,返しなさいと,当たり前だと思うんですけれど,そういう制度はあるんですか,農林水産部長。

◎農林水産部長(宮地邦彦君) 先ほど申し上げましたように,現在の3経営体が漁業に従事しておりまして,かつ後継者も就業意向であるとお聞きしておりますので,当面の間,この漁業従事者が不在になるとは考えておりませんが,仮に不在となった場合には,他漁協所属の漁業者の利用促進のほか,例えば遊漁船の誘致など,今後,海業を推進していくための漁港として,そういった利活用に取り組んでいく必要があると考えています。

◆(伴武澄君) 聞いたのは,後継者が万が一亡くなった場合に,その補助金を国や県に返すという制度はあるんでしょう。普通考えられないんですけれど,利用者がいなくなったなんて。

◆(伴武澄君) はい。

◎農林水産部長(宮地邦彦君) 漁業を経営していく中で,結果的にもしお亡くなりになられたということで,ゼロになった場合ということですけれども,基本的には,そういったなかなか避けることのできないような状況ですので,その部分に関しましては,やはり補助金を出していただいております国,県に個別に相談していくような内容となりますので,この場では,答弁につきましては差し控えさせていただきたいと思います。

◆(伴武澄君) 少なくとも,僕の知っている知識では,返さなきゃいけないと,全額とはいかないかもしれない。もちろん,交渉して,とにかく使わなくなった,その公共施設の補助金は原則返還。今までそういう事例が,多分ほとんどなかったんじゃないかと思いますけれど,これから起きる可能性がある。
 ちょっと又聞きなんですけれど,田野町魚協ってやめちゃったんですか,最近,田野ね。昨日聞いたばっかりで,まだ確かめていないんですけれど,だけど本当に漁業をやめちゃうっていうところがあったっておかしくないわけです。
 15人がアルバイト的にやっても,1,300万円しか稼がないようなのは,これ漁業と言えないでしょう。1人100万円以下,年間ですよ。15人が1,300万円,年間80万円,90万円の世界じゃないですか。これなりわいじゃないですよ。さっきのバス以下です。話にならない。これで食っていけるはずはないわけ。それで,漁業のどうのこうのっていうレベルの話じゃないわけです,そもそも。最後それだけお答えください。漁業という,そのレベルになっているのかと,農林水産部長。

◎農林水産部長(宮地邦彦君) いろいろ経過はございますが,やはり水産資源の減少等によりまして,なかなか出漁しても水揚げがないような状況もございますので,そういった結果,出漁を見合わせるというようなケースもございます。
 本来的には,やはり黒潮大蛇行等がなければ,一定水揚げ量も上がってきておりますので,ここ近年の水揚げ量の大幅な減少に関しては,そうした影響も多々あると考えておりますので,一定そういったものが回復すれば,また一定水揚げ量も上がり,また所得も向上していくものと考えております。

◆(伴武澄君) そのように期待したいもんです。
 それから,3つ目の話なんですけれど,よく市民の方に言われるんですけれど,中心市街地というか,真ん中辺に住んでいる方,買物大変なのよと。マンションはどんどん建つんだけれど,中心市街地と市が定義している赤色の区域の中で,スーパーがあるのはあそこの大橋通りの毎日屋しかないと。数年前はユーエスマートというのが中種に小っちゃいながらもありましたけれど,ない。
 買物難民っていうイメージって,普通,中山間地に行って,とくし丸みたいなのが来て,行商でおじいちゃん,おばあちゃんが買物している姿を思うんですけれど,高知で起きているのは,皆さん見たことないですか,僕も升形で見たんです。それから,山ノ端でも見ました。とくし丸みたいなのが走っているんです。土佐山や鏡の話じゃないんですよ。高知の中心街をかわいそうに,とくし丸みたいなのが走っている。
 これって原因はスーパーがないからなんです。歩いていける,もしくは自転車で行ける。
 これマンションを建てるに当たって,何かできないのかと。容積率の緩和とか,例えばここに造ってくだされば,家賃半額補助しますとか。今でも空き地いっぱいあるじゃないですか。電車通りでも,思いつくままに言うと,郵便局のところ駐車場になっているじゃないですか。昔は大きな局があったけれど,今は小さな郵便局になっている。あそこら辺,スーパーができるだろうとか。これは何になるか分からないけれど,高知新聞社というのを壊しているじゃないですか。あそこの堀詰辺りの今度ホテルが建つらしいところも空いているじゃないですか。それから,もう売っちゃったんですけれど,マンションが建つ予定の我が高知市役所の南別館,あそこも相当な広さがあったじゃないですか。
 そういう空き地ができたときに,そういう商業地が必要だねってふだんから思っていれば,打診したりするんですけれど,そういう話っていうのは一切しないもんなんですか。都市建設部長にお伺いしたいです。

◆(伴武澄君) 有効利用したいというときに,商業の話ですけれど,商工観光部の所管なんでしょうけれど,オール市役所として,ここにスーパーがあったら便利やなとか,そういう発想で物を見たりはしないんですか。

◎都市建設部長(福留正充君) 都市建設部としまして,そこにスーパーを建ててくれっていうような指導はしておりません。ただ,立地適正化計画の中で,都市機能誘導区域っていうのを設定しておりますけれども,都市機能誘導区域の中に,その区域内の居住者の利便性を高める施設としてスーパー等,大規模小売店舗を都市機能誘導施設として設定しております。
 その都市機能誘導施設を誘導するための支援策の一つとしまして,優良建築物等整備事業というのはございます。都市機能誘導施設を含む複合施設を建設する場合に,補助金を交付できるようになっておりますので,事業者がその補助金を使って,例えば商業施設を造るということであれば,そういう支援策がございます。

◆(伴武澄君) 全国で結構そんな事例はあるんですか。僕が見たテレビの番組では,北海道の村で,スーパーどころかコンビニもなくなっちゃって,スーパーに三顧の礼でぜひ来てくれと。もちろん,そういう例は補助金出して。僕調べたんです。ネットで調べたら,ずっと一覧表があって,二,三,見たんですけれど,そういう買物難民の支援っていうのが,大体が無料の送迎バスを出すとか,そっちのほうで,店舗のほうは物すごく少ないんです。
 そういうのって,だけど高知市はコンパクトシティーとまでは言っていないですよね,概念として。例えば富山市とか青森市みたいに,何かそういう,でも狙いはコンパクトにあると思うんです。なるべく中心部にいて,医療機関もあって,便利なところで,しかも車がなくても暮らせるような,高齢者になった場合。そういうのを目指しているとは思うんですけれど,そういう中に,今おっしゃった商業施設ですね。これ結構重要な役割を果たすはずなのに,あんまりなってないというか。
 ここは商工観光部長にお聞きしたいんですけれど,例えばユーエスマートというのが撤退したいと,僕ら仲間でしたから,40万円のその家賃が高過ぎるのに,絶対安くしないんだよねって,もう2年ぐらい頑張ったけれど,やっぱり地域の人は困ったわけ。お総菜も作っているから。高齢者も結構あの辺多いわけ,はりまや町ね。でも,そのままになっているわけです。
 僕が3か月いた土佐山では,土佐山ストアっていうのがあって,これやっていけないっていうんで閉めちゃったんです。でも,どうしても欲しいからといって,また2年後に再開したんです,違う人が。その人は無償奉仕で店頭に立っているわけ。だけど,やっぱり必要なんです。でも,そこは補助金もらっているかどうか分からないんですけれど,やっぱり最低限の商業施設というのは,町に必要だと思うんですけれど,商工観光部長,そこら辺の御認識はどう思われますか。

◎商工観光部長(今西剛也君) 先ほど,はりまや橋商店街でのお話がございましたけれども,現状もちょっとお伺いしておりまして,片道1キロメートル程度の一番近隣のところへお出かけしているというようなことを聞いています。
 それから,議員の質問にもございましたけれども,他都市の事例で中山間地域などで,村,集落に全然なくなったから,それをそこの自治体が維持するために,村の人々の生活の維持が困難になるということで,建物がもともとどういった持ち物だったかは承知していないんですけれども,そういったところへ一定補助をしたと。
 確かにおっしゃっておられますように,もうここ十数年前,平成20年頃前後から買物難民というものは,高知市でも顕在化してまいりまして,おっしゃられたように,中心部です。
 例えば升形のサニーマートさんがなくなったとか,そのほか近いところで上町5丁目もそうですし,幸町も越前町も。そういった感じで,中心部に,いわゆる買物難民という方が発生し,私どもも例えばサニーマートさんの升形店については,ふるさと雇用のスキームなんかを使いながらフォローもした時代もございました。
 現在,中心部には1店舗,あと駅前に2店舗ぐらいというところになってございますけれども,私どもの元にも,直接的にどうしてもここがないから困っているとか,そういった御要望が中心部からは入っていないのが現状です。だからというわけではございませんけれども,その店舗そのものに運営の補助をすることは,なかなか現時点では難しいと,そのように考えてございます。
 ただし,買物難民等全般に対しましては,過去にも勉強会をしたりとかもございましたけれども,一定のやっぱりそのフォローは必要というふうに考えてございますので,中心部に関しましては,出店の補助はありますけれども,例えばその店舗が継続していく上での補助というものはございませんので,今の時点ではないということでございます。

◆(伴武澄君) これもお金のかかる問題で,そんなことばっかり要求しててもしょうがないんだけれど,中心部の活性化というからには,そこに商業施設がなきゃいけないんだと,飲み屋ばっかりあったってしょうがないんだという意識が僕はあるんですけれど,市長もお住まいからお買物はどちらへ行かれているか,お車で行っているか,お聞かせいただけますか。

◎市長(桑名龍吾君) 私も近くにスーパーがないところでして,妻は車で買いに行っています。そしてまた,ちょっと叔母が上町にいるんですけれども,よく聞いていて,本当に年を取ったら歩いて買いに行けるところがないということで,そして私もさきの選挙においては,公約の中でこの中心市街地の中心部における買物難民の解消というものを上げさせていただきました。
 私も量販店の経営者をよく知っていますので,この公約を作るときも,今,時代も変わったけれども,また中心部にというようなことで,そのことも皆さん方にはお話をしております。ただ,土地がないということと,それとやはり量販店になると,そこで経営が成り立つのかどうなのかというところも判断させてもらいたいというような言葉もいただいております。
 もう一つ,やはり宅配サービスっていうものを,これからやっぱりこれも充実をさせていかなければならないのかなということで,これは高齢者福祉も併せて,宅配も併せながら,そして移動販売も併せながら,またコンビニなんかも使いながら,これも総合的に考えていかなければならない問題かなというふうに思っています。ただ,問題意識はしっかりありますので,また全庁挙げて取り組んでいきたいと思っています。

◆(伴武澄君) 時間がなくなってきたようなんで,ここら辺でおしまいにしたいと思いますが,ぜひこの買物難民も,市長御自身もお車で行かれているっていうぐらいで,歩ける距離に欲しいですよね。
 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
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