10時10分頃 体操→シャワー→水慣れ→全体指導(何をするのか)

教諭Aと教頭は全体指導の際に、被害児童が最も浅い所から5番目あたりにいるのに気づき、南東端の浅い場所に移動させた。教諭Aが被害児童を認識した最後、教頭は全体指導の後、プールサイドで見たのが最後。

10時40分 児童たちはそれぞれの判断で、泳ぎの得意なグループと苦手グループに分かれた。先に得意グループがプール南半分を使って泳ぎはじめ、10分チャレンジを開始した。教諭Aと教頭がプールサイドから児童を見る形となった。教諭Bは北西のプールサイドに苦手グループを集めようとしていた。前回、2回目の授業では南西サイドで活動していたため、今回も南西角に集まっているのに気づき、北西側に回って来るよう指示した。教諭Bが被害児童を認識したのは、プールサイドをこっちに向かっているところを見たのが最後であった。

10時45分頃 教諭Bは男女20名以上を見ることになった。教諭Bは教諭Aと教頭に1人で見るのは難しいと声かけ。教頭は行けないと答えた。(苦手グループの活動は①女子けのびバタ足②男子けのび、けのびバタ足③女子プールサイドつかみバタ足④男子プールサイドつかみバタ足を行い、③から教諭Aが加わった)女子と入れ替えで男子のバタ足が始まり、教諭A、Bは北西角から交互にバタ足を見ていた。2人とも被害児童がそこにいないことを認識していなかった。10時50分に得意グループのチャレンジが終わり、教頭が教諭Aに次に何をさせるのか聞きに来た。

その直後の52分頃、両教諭は「先生」という声を聞いた。(以上、検証委員会での事故概要)

疑問がいくつかある。「全体指導」は南東端で行われ、わざわざ「被害児童が最も浅い所から5番目あたりにいるのに気づき、南東端の浅い場所に移動させた」と記述しているのに、後に北西で苦手グループを指導した時、同じ配慮をしたのかどうかの記述がない。当初、プールは東側浅く、西側が深いものだと思っていたが、中央部が一番深い構造になっているようだ。その説明もないから混乱が起きる。「えっ、なんで浅い南東から深い北西に移動するの」と勘違いしそうだ。そして被害児童は北西端の一番浅いところにいなかった可能性が高いのだ。事故概要によれば、教頭と教諭Aは南東端での全体指導が最後で、教諭Bは北西端に向かうプールサイドが最後だとしているから、苦手グループの指導が始まった時点で、被害児童の存在を意識していないことになる。一番溺れる可能性の高い児童に細心の注意を払う必要があるのに、それを怠っていたことになりはしないだろうか。

被害児童はプールの一番深い中央部で沈んでいたのだから、一番浅い場所にいたはずがないではない。そして溺れて十数メートルも水中で移動するはずがない。