泉佐野市は2023年から、ため池発電を始めた。太陽光パネルをため池にはる事業は各地で始まっているが、自治体”直営”は珍しい。2024年3月時点で市内5カ所に設置済み。発電出力は2797kw、市内の公共施設の電力の26%を賄っている。

 ため池発電のスキームは、太陽光パネル設置業者と市が出資する「泉佐野電力」とで25年にわたる買取契約を行い、泉佐野電力は公共施設に電力を供給する。固定価格による供給であるため、設置業者も安定的に経営でき、市としても将来的な料金高騰の影響を受けないメリットがある。

 このスキームに可能性を感じるのは、自治体が電力供給源となることである。供給先を企業や一般家庭に広げるだけでない。近隣自治体への供給ができれば、泉佐野市が「エネルギー企業」として生きることも可能となる。

 かつて高知県に吉良川村があった。備長炭生産を活性化し、村民税をゼロにした時代もあったそうだ。ため池発電は「脱炭素」実現に向けた取り組みとして始まったが、全然のように企業局が県外に電力を売るという産業的側面があってしかるべきだ。高知県などはもっともっとっ小水力発電に積極的であっていいと思う。