2012年5月28日高知新聞社に連載企画案「土佐山に学ぶ90日」(元共同通信社記者 伴武澄)を提案した。論説委員は面白いという話だった。「毎日でも書く。原稿料はいらない」という話を伝えたが、結局、却下された。以下その企画書である。

 7月から土佐山アカデミーの受講生となります。昨年記者生活を終えて高知市に帰りました。受講生になったのはこれまで見聞きしてきた土佐山での「驚き」や「発見」を短期ではありますが、体験したくなったからです。そんな体験を日記風に連載できたらと考えました。受講期間は7-9月の12週間です。連載は毎週1回の予定、写真付きです。
 テーマは「山で生きる」ことです。生きることは「学ぶ」ことにつながります。学べば多くの「出会い」があることでしょう。「疑問」もわきます。疑問がわいたら解明しなければなりません。
 驚きの最初はスタッフがいかにも楽しげに仕事をしていることでした。楽しく暮らし仕事ができることは幸せなことです。GDPという経済中心主義では計れない何かがあるはずです。スタッフそれぞれの資質なのかもしれませんが、そんな人材を土佐山に呼び寄せたこと自体にも興味がわきます。
 高知市内からこんなに近いのにどうして人が住まないのだろうかということも驚きです。土地は十二分にありしかも格安、空き屋も少なくない。ベッドタウンに「山」が想定されないのは不思議なことです。
 植木枝盛の「自由は土佐の山間よりいずる」といった「山間」が土佐山だったことにも驚きがありました。『自由党史』を書いたのは和田三郎です。土曜新聞の記者として自由民権運動に関わり合いながら次のステップとして孫文の革命にのめり込んでいく。そんな人材が土佐山に生まれたことが不思議です。
 最近の出来事では、土佐山が小水力発電の立地として大きなポテンシャルを持っていることも驚きでした。未来につながる話です。
 土佐山は何もありません。将来性にも疑問符がつきます。しかし高知市内で一番美しい土地だと思います。観光地化すれば土佐山が死にます。山全体をそのまま残しながら、人々が活力を取り戻す場にすることは不可能ではないと考えます。そんな試行錯誤を連載に盛り込めたらと思います。
志を維持しながら生きる格好の地が土佐山にある。そんな思いで連載ができたらと考えます。