親戚の不幸があって一泊で東京に出向いた。夜町を歩いていて目についたのがマクドナルドの求人広告。「時給1200円」とあった。高知では900円だったのを知っていた。東京では同じマックをを売るのに人件費が3割以上も高いのだ。通夜の後の直会でそのことを話題にすると息子の一人が「おとん、ニューヨークではマックの時給が30ドルだぜ」という。もっと驚いた。知らなかったがそのころ、外為市場では1ドル=147円を突破していた。150円で換算すると「時給4500円か」。ため息が出た。その後、高知に帰って調べると、「ニューヨークのマクドナルドの時給は、日本円で約3700円」という4月のツイートを見つけた。そのころの円相場でそうならば、現在の相場で4000円以上になっていてもおかしくない。

9月のフォーブスニュースによると「カリフォルニアのファーストフードの最低賃金を15ドルから22ドルに引き上げる法案が通った」という。全米で一番高い水準になるそうだ。22ドルは3300円である。1日8時間×20日働くとなんと53万円弱になる。これは最低賃金である。ニューヨークのマックの時給30ドルで換算すると、月72万円、年間864万となる。万が一日本円が1ドル=200円にでもなれば、1200万円となる。これは単なるマックのアルバイト代である。今の日本では気の遠くなるような賃金であろう。

このところの欧米の物価上昇率は8%前後とすさまじいことになっている。これに呼応して、最低賃金もどんどん上がっている。日本でも10月に入ってから相次いで最低賃金が上がった。平均で930円が961円に上がった。高知県は820円から853円になった。平成時代に平均で600円台だったからそう相応に上昇しているといえようが、内外の賃金上昇率から比べれば、とんでもなく低い。日本で普通に暮らしていると世界と比べて低いなどとは感じないが、数字で比較すれば歴然となる。この間に企業の内部留保は500兆円にもなっている。日本の労働者はどうしてもっと怒らないのか。