数日前の共同通信の調査によると、31日の総選挙で自民党が過半数を超す勢いであるらしい。自民党は菅政権では選挙に勝てないとして、岸田文雄氏に選挙の顔をすげかえた。だが甘利氏が自民党幹事長になったことから、多くのメディアは岸田内閣は安倍・麻生氏の流れをくむ内閣であると書いた。僕もそう思う。僕は日本経済がおかしくなったのは、ゼロ金利のせいだと思っている。そのゼロ金利をさらに推し進めたのが、アベノミクスだった。株は上がり、企業の内部留保は大きく積みあがった。しかし9年間、経済成長はなかった。当然、国民への分配もなかった。3本の矢はすべて的を外したといっていい。普通だったら、政権交代の風が吹いてもおかしくない。

にもかかわらず野党第一党の立憲民主党の支持率は一桁のまま。何が悪いのか。多くの識者は10年前の民主党政権の頼りなさを理由に挙げる。だが、考え直さなければならないのは、民主党が政権を奪取したのはリーマン・ショックの直後、しかも東日本大震災という桁外れの災害に見舞われた。誰が担っても内憂外患といっていい激変をコントロールできたはずはない。それを理由に民主党やそれを継承した立憲民主党をたたくのは酷というものであろう。

それに比べて、アベノミクスの失敗は安倍晋三首相の人為的な失政である。実質的為替水準で見て、日本経済がどんどん小さくなり存在感を失った責任は大きいと言わざるを得ない。それでも自民党への支持が減らないし、野党への支持も増えないのが不思議でならない。

日本国民はよっぽど「変える」ことが嫌いな国民なのか、または「変える」ことが怖いのか。それともどうせ「変わらない」とあきらめているのか。

僕が野党に肩入れしているのは、政権は少なくとも10年に一度は変えなければ腐敗すると考えているからだ。野党が政権を担うことになってもきっと同じことを繰り返すだろうと思う。今回の総選挙で特筆すべきは、立憲民主党と共産党との共闘が各地で進められたことである。現実に起きたことは共産党による立候補取り下げだった。共産党が大きな譲歩を行ったことは確かなことで立憲民主党にとって今後同じような風が吹くとは限らない。

細川護熙元首相は、熊本県知事を退任する際に「権力は十年で腐る」という趣旨で『権不十年』と言い、2期8年で知事を辞めた。出典は中国の古典らしい。「花無十日紅 権不十年久(花に十日の紅なし、権は十年久からず)」。本来の意味としては、「いまいくら権勢を誇っていても長くはつづかない、だから辛抱、辛抱」というようなこと。