今回のアメリカ大統領選挙が象徴するのは民主主義の危機であろう。まず投票日。事前投票率が25日時点で20%を超えているというニュースが流れたばかり。私事ながら昨年、高知市議選に立候補した際に事前投票制度について考えざるを得なかった。

日本では制度として公示日まで「選挙運動」は禁止されている。できるのは「政治活動」のみ。ポスターなど貼れない。立候補するということさえ厳密にいえば禁止される。できることは自らの政治団体の宣伝のみ。つまり政治団体「伴たけずみを支える会」への加入を促すビラの配布ぐらいしかできない。街立ちの際、ノボリに自分の名前さえ書いてはならないのだ。

ところが公示日の翌日から事前投票が始まる。事前投票した人は候補者の比較検討などしていないのだ。高齢者など自ら投票所に行くことが難しい人々を集団で事前投票所に連れて行く「お仕事」まであることを知ってアングリした。

市議選では選挙期間は公示日を含めて7日しかない。新人にとって不利であるだけでない。自分の主張どころか名前さえ知られる前に投票されたのでは立つ瀬がない。

10月21日の日経新聞は、期日前投票のほかに郵便投票など投票手続きについて「異例の混乱」が起きていると報じている。ジョージア州では事前投票に「11時間の行列をつくった」というから驚きだ。共和党知事の州を中心に投票所数を削減しているからなのだそうだが。投票妨害に近い。事前投票自体に問題があるが、それすらさせない。そんな民主主義がアメリカで横行している。