1960年代の南アフリカ
1月24日(金)のはりまや橋夜学会は開催します。
テーマ:1960年代の南アフリカ
講師:伴武澄(萬晩報主宰)
時間:1月24日午後7時から
場所:WaterBase(旧小谷陶器店)
国際政治や社会について目覚めさせてくれたのは1960年代の2年余にわたる南アフリカでの暮らしだった。英連邦から脱し、南アフリカ連邦から共和国へと国体を変更させ、アパルトヘイトを強化した時代だった。黒人やインド人たちだけでなく中国人をも隔離していった。その中で日本人だけが名誉白人の名のもとに「平和」な暮らしをしていた。
公園のベンチには「White
Only」と書かれてあった。バスも電車もすべてが白人と非白人に分けられ、非白人の人権はほとんど認められていなかった。外交官の息子といえども公立学校への入学は拒否され、町へ出ると白人たちから厳しい眼で見つめられ、黒人たちには「ヘイ、チャイナ」と嘲られた。
日本人であることやアジア人であることを強烈に意識せざるを得ない生活空間は息苦しかった。一方でアパルトヘイトに無頓着で名誉白人的生活を楽しんでいる在留邦人の生きざまにある種憤りも感じた。
帰国後、地球の裏側にこんな理不尽な世界があることを日本の人たちに伝えなければならないと考えたが、日本社会もおかしいと思った。外国のことを語ると「キザだ」といって友だちから疎んぜられた。日本と言う社会は異なるものを受け入れないのだと感じ、僕は急に寡黙な人間になっていった。この気質はまだ日本の多くの人々に残っている。
それから60年、世界の変遷を議論したいと思う。