労働市場の門戸開放をできない日本
1年ほど前、ダイヤモンドのスペシャル対談で「勝間和代、ジャック・アタリと『日本の未来』を語る」と題した対談があった。面白かったのは、キーワードが「利他主義」と「人口政策」だったことだ。
http://diamond.jp/articles/-/1956
人の問題に対してアタリが「経済成長のためには人口、貯蓄、技術革新、資源が必要です。この4つのリソースが西洋社会では賄えなくなってきて、移民に頼っている。アメリカ、ヨーロッパでも技術革新は進んでいますが、実際にそれを担っている人たちは、ほとんどがよその国から来た人だちなのです」といっていた。
日本経済の停滞が問題となって久しい。日本は技術力も資金もあるのに「なぜ」という疑問があろうかと思う。日本という国の国際化は日本人が海外に進出することだった。日本の国内に外国人を招くという発想はほとんどなかった。20年前、日本がバブルのピークを迎えて問題となったのは「労働力不足」だったのだ。外国人労働の可能性について大いに議論されたが、結局、日本は労働市場の門戸開放に踏み切れなかった。実は植民地を多く持っていた欧米諸国にとって労働市場の開放は自明の理であったのだ。
現在、日本では雇用が大きな問題となっているが、社会保障の分野では圧倒的な人不足が続いている。賃金の問題もあるが、雇用のミスマッチが依然として続いているということなのだ。