松沢資料館で機関誌「雲の柱」の次号のゲラ刷りをみるチャンスがあった。その中に「ガンジー・賀川・マンデラ」という見出しが気になるコラムがあった。筆者は河上民雄氏。
 20年以上も前にインドのニューデリーで開催された「反アパルトヘイト(人種隔離)国会議員世界大会」に河上氏が出席した折りの話を回顧している。当 時、南アフリカはまだアパルトヘイトの最中である。長く投獄されていたネルソン・マンデラ氏の釈放を世界の声として求める集まりだった。
 インドと南アフリカとは、切り離せない因縁がある。東アフリカから南アにかけてインド商人が多く住みついていただけでない。ガンジーが弁護士として初め てダーバンに赴任し、ヨハネスブルグへの列車の中で鮮烈な人種差別を体験し、そのことが後年の反英闘争の引き金となるのだ。南アなかりせば、ガンジーはな く、インド独立ももっと時間がかかったかもしれない。そんな感慨がある。
 その反アパルトヘイト大会で、河上氏はスウェーデン社会民主党のスヴェンソン氏と出会い、「賀川豊彦を知っているか」と問われる。知るも知らないもない。河上氏の父親、河上丈太郎は労働運動、無産政党時代から賀川とともに歩んだ人物である。
 スヴェンソン氏はこう話し掛けた。「賀川豊彦の本を読んで自分は政党活動に入る決意をした」と。
 なんということだ。河上氏の驚きは想像にかたくない。
 これ以上書くと、「雲の柱」編集者に怒られるので、内容の紹介はここまでにとどめたい。詳しく読みたい方は、賀川豊彦記念松沢資料館にお申し込み下さい。
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