財団法人国際平和協会は11月8日、群馬県大泉町の日系ブラジル人校、ジェンチ・ミューダの子どもたちと先生ら35人を恒例の東京遠足に招待します。今回は鎌倉の大仏と八景島シーパラダイスにお連れします。
 この行事は、同協会が5年前から始めた国際交流事業の一つ。おとうさん、おかあさんが働くため東京を知る機会がほとんどないということを聞いたのがきっかけです。
 日程は以下の通りです。
 06:30 大泉町、ジェンチ・ミューダ校出発
 10:00 鎌倉大仏着(約1時間見学)
 12:00 八景島シーパラダイス着(お昼をはさんで見学)
 15:30 シーパラダイス発
 19:30 大泉町着
 大泉町には日系ブラジル人が約4000人住んでいます。三洋電機や富士重工業の主力工場を中心に組み立て産業 が集積しています。人口的には浜松市などの方が多いですが、人口比率は10%を超えるなど日本で一番高い市町村です。1980年代から日系ブラジル人の雇 用に積極的だったからです。
 1990年の法律改正で、日本の戸籍を持つ人だけでなく、両親や祖父母などが日本字であったことを証明できれば、日本での就労が可能になり、ブラジルな どからの就労者が急激に増えました。現在約30万人の日系人が日本で働いています。今からは信じられないことですが、当時は労働力不足が問題となり、ここ ままでは日本の産業が衰退するとの危機に直面していたのです。
 外国人の導入も議論となりましたが、結局見送られ、日系人の就労機会を拡大することになりました。当時、日系人が日本に来て働いてくれなければ、日本の産業界はどうなっていたか分かりません。アジアなどへの工場移転はもっと進んでいたでしょう。
 昨年来の経済危機で外国人や日系人が真っ先に首を切られました。90年代の日本産業界を支えてくれたという視点はまったくありませんでした。おかしなことです。(伴 武澄)