投稿日 : 2005/01/07(Fri) 11:02
投稿者 : 樋口大奉

 モーターはもともと直流の方が力が強い。新幹線だって直流モーターを回している。直流モーターを使えば、エネルギー削減はさらに大きくなる。2割、3割の削減が可能になるかもしれない。
 将来的にエネルギーが分散型発電時代になることは容易に予想される中で、す>べての家電製品が直流で使えるような「直流ハウス」の開発を提言したい。

エジソンが直流配電論者であったのは有名な話です。
それでどちらが優位にあるかは、その時点で実用性のあるテクノロジーによって大きく影響を受けます。
実際問題として、現在の大規模な発電設備は外部エネルギーを回転運動にしてからこれで発電機を廻して電力を生み出しています。
この場合には発生するのは正弦波であり、直流発電機はこれをブラシによる整流を行っていました。自動車ではかってこの方式の発電機を持っていましたが現在では半導体整流器の利用により全部交流発電になっています。

モーターが直流のほうが力が強いと言うのも必ずしも正確ではありません。かっては速度とトルクの制御が比較的簡単との理由で直流電動機が使用され、簡単で耐久性があることから誘導電動機が用いられてきました。
しかし、本当に効率の良い運用を行いたい場合には現在は交流電動機が用いられています。新幹線も「のぞみ」以降のモデルでは車両の軽量化のために誘導電動機を用いていますし、発進時のトルクと減速時の回生制御が重要な近郊鉄道でも誘導電動機が使用されています。さらに電気自動車、ハイブリッド自動車も交流の同期電動機(かっては力が弱いので
電気時計にしか用いられなかった)が使用されています。これを可能にしたのは半導体による大電力用のスイッチング素子でかっての水銀整流器による大きさや動作速度の制約を受けない高度な制御によって任意の周波数の交流を容易に発生させることが可能になったためです。

そこで、では配電をどうするかの問題ですが、現実に都会地に有効に配電するにはやはり現在のインフラが確立されている低周波の交流しか解はないようです。
但し、遠距離の一対一の送電には直流のほうが有効な場合もあります。太陽光発電の変換効率については、発電電圧の低いことが本質的問題で、これを安定した電圧にするにはどうしてもスイッチング損失は避けて通れません。

しかし、現在の家庭に沢山ある各種装置の直流アダプタの不統一と見苦しさは困ったもので、携帯機器の一次、二次電池の種類とともに大変な資源の無駄遣いであり、このあたりは12/24/28/48のどのあたりかで統一することが急務だと考えます。

タイトル : Re^2: 議論に値するテーマか?-続き
投稿日 : 2005/01/10(Mon) 13:58
投稿者 : 樋口大奉

内燃機関による自動車でも、その最大出力を用いるのは加速時だけで、実際にはずっと少ない出力しか用いてなくて(第一、最大出力を長時間利用できるような過剰な設計をまともなメーカが行うはずもない)、しかも駆動系統での損失などで実際にはそんなに走行に出力は有効に利用されていません。
電気自動車やハイブリッド自動車は電池やキャパシタによって瞬間の大出力をカバーする(電動機は過負荷でも熱容量で温度上昇をカバーできれば無理はききます)ので実際の発電能力は巡航時に必要なエネルギーを発生する程度で良く、多分10KW程度に設定されているのではないでしょうか?(それでも大変なことですが)

燃料電池に関係しますが、現在ではリチウムイオン二次電池の後塵を配して一世代前のものとされているニッケル水素二次電池はその構造からして水素を燃料とする燃料電池です。小規模なシステムでは水素を金属化合物とすることは水素ボンベよりも小型で安全に水素を貯蔵できるからです。しかし水素ガスから急速に水素化合物に転換する手段(エネルギー損失を少なく)はあるのでしょうか?

ニッケル水素二次電池の改良を進めているメーカは恐らく燃料電池に将来を見据えているのではないかと思います。
もう一つの問題は、できるだけ損失の少ない(順方向の電圧降下の少ない)電力用の半導体素子の開発で、電圧が低い場面でのエネルギー変換には0.2Vや0.3Vの電圧降下でも損失への割合が馬鹿にできなくなっています。
面白いことに、高性能のマイクロプロセッサも電圧が低下し、電流だけがやたらに大きくなっているので、この低電圧・大電流がこれからの電気・電子分野でのキーテクノロジとなる可能性があります。

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タイトル : エネルギー分野の新技術動向は?
投稿日 : 2005/01/11(Tue) 06:08
投稿者 : 中村博昭
参照先 : http://www.saburai.com

この欄で、新エネルギーに関する議論が盛んですが小生も非常に興味を覚えます。各家庭に眠っている自家用車が、家の車庫に眠っている余剰時間帯にも、エネ ルギー源として活用できるとしたら素晴らしい。過日、技術士会・化学部会の月例講演会で元㈱本田技術研究所研究員、佐藤 登氏(工学博士)の話を聞く貴重 な機会を得た。新エネルギー分野で世界の最先端を走っているのは、やはり自動車業界である。特に新しい材料設計に由来するケミカルテクノロジーエネルギー 分野は、色々な革命的アイデアの宝庫である。機械、電気が専門の方は、一般的に数字に非常に強く、エネルギー効率等の見通しもシャープであるが、化学の分 野人たちは新規の材料開発を目指しており、装置・機械設計には余り強くないが従来の常識を超えた材料、システム開発に関する話を聞けそうである。この両者 が融合する分野に、人類の新しい光明が感じられる。技術士・化学部会の講演案内は、こちらをどうぞ。http://www.saburai.com/chem-group_page_1.htm