「環境の日」である6月5日に合わせて、三菱自動車は日本初の量産型電気自動車となる「アイ・ミーブ」を7月から459万9000円で発売すると発表し た。最高時速130キロ、フル充電で160キロを走る本格派で、専門家の間で「走りのEV」として高く評価されていただけに、この価格設定には落胆した。
 2月にホンダが新型インサイトを189万で販売すると発表した時は「ホンダのやる気」を感じさせた。3代目プリウスを200万円台半ばで販売する予定 だったトヨタも”大幅値下げ”せざるを得ず、時ならぬハイブリッド車ブームを巻き起こした。かつて電卓が高値だったころ「サンキュッパ」で価格破壊を起こ したカシオの戦略を思い起こさせたが、三菱自動車のやる気のなさに言葉もない。
 電気自動車で先行していたノルウェーのThinkは昨年、新型車「Think City」を発表した。車格はミーブとほぼ同じで1回の充電で200キロ走るとされるが、価格は14,000ポンド、日本円で225万円である。同じく中国 の自動車メーカー、比亜迪汽車(BYD)は1回の充電で400キロ走る小型車を昨年発表し、「15万元(約234万円)で発売する」と発表した。世界との 価格差はあまりにも大きい。
  世界的注目を集めている米カリフォルニア州の新興自動車メーカー、テスラモーターは2008年から「Tesla Roadstar」を9万8000ドルで販売を開始した。今年3月には2011年発売予定の4ドアハッチバック車「ModelS」発表した。予想価格は5 万7400ドル(約560万円)だが、米政府による7500ドル(約73万円)の税制措置で5万ドル(約490万円)以下になる見通し。驚きは1回の充電 で300マイル、480キロも走るというから現在のガソリン車とほとんど遜色のないレベルに達するということだ。
 電気自動車が本格的に地球を走り始めると環境問題は一気に解決する。そのためにどの企業が勇気を持って価格破壊に挑むのか。今日の三菱自動車、昨日の富士重工の価格設定を見る限り、この2社に未来を切り開く力はなさそうだ。