PSEマークは見直しでなく廃止すべき
甘利明経済産業相は29日の閣議後の記者会見で、電気用品安全法(電安法)の基準に適合したことを示す「PSEマーク」なしで中古家電を販売できるように制度を見直すことをあきらかにした。
昨年3月、「PSEマーク」なしで中古家電が販売できないことが分かり、大騒ぎになった。経産省は4月以降、法律の弾力運用で「PSEマーク」なしの中古家電販売を認めてきたが、経産省としてようやく”非”を認めたことになる。
問題はなぜ、昨年の時点で制度見直しに踏み切れなかったかだ。役人のプライドもあっただろうが、自民党も自民党だ。役人がおかしなことをしようとした時に、政権政党であってもストップをかける厳しさが必要だ。
電気用品安全法(PSE法)は「漏電・火災・感電などの事故防止と粗悪品を排除してきちんとした電源部品で運用管理する」という目的で2001年4月1 日に施行された。いわば家電製品の「車検」のようなものである。車検のように2年ごとの検査はないが、PSEマークのない家電製品は出荷できないのであ る。
問題は、この法律の規制対象である。「電源コード「ヒューズ」「ソケット」「スイッチ」「変圧器」「電熱器」の類の安全性に限定されていて、決して家電製品の品質保証ではないのである。
PSE法は時代錯誤の法律である。
PSEマークの認定機関は経産省の外郭団体である財団法人電気安全環境研究所(JET)である。1963年にスタートした財団法人日本電気協会電気用品試験所が97年に改組された外郭団体である。試験に合格した製品に〒マークを表示していたのである。
まだ日本の家電製品は安かろう悪かろうの時代に、旧通産省の外郭団体が安全性の認定を行っていたのは仕方のないことだった。その後、この〒マークは政府 の許可が必要な「甲種 」と企業が安全性を自己確認すればいい「乙種」に分けられ、1995年にはほとんどの家電製品が「乙種」になり、乙種マークも廃止となったという経緯が あった。(代わりにSマークが登場したが任意の制度)
PSE法がいかがわしいのは、ほとんど規制から事後規制に変わり、任意となった「甲種」と「乙種」マークの義務づけを復活させたことだ。現PSE法に よって「中古家電製品が店舗販売できなくなる」というのもナンセンスな話なのである。そもそも過去の日本の家電製品には「旧電気用品取締法」に基づいた 「甲種」「乙種」マークが付いているのである。家にある家電製品の裏をご覧になるといい。乙種であっても一応、国家の認証を経ているのである。その過去の 認証を否定するような法律はどう考えてもおかしい。見直しではなく即刻廃止すべきなのだ。(紫竹庵人)