執筆者:中野 有【Nakano Associates】

京都や青森で滞在し、ワシントンに戻ってきた。青森の地酒とさかなは実に美味しかった。

そして今朝、雪化粧のワシントンの街を歩きながら、すれ違うアメリカ人を眺めながら、改めてアメリカ人と日本人の体型の違いを感じた。肉食の白人や黒人と、野菜や魚が主食の日本人は、体型のみならず考え方も違う。比較により、日本人としての自覚が生まれる。

好奇心の趣くまま、かってきままに世界を観てきた「国際フリーター」にとって、子供ごころに感じた京都の上賀茂神社の空気が世界と比較しても最も心地良い。その上賀茂神社に、かつては葵の草が絨毯のように茂っていたという。今は、地球環境の変化で葵を見かけることはほとんどない。葵がなくなったのは、地球環境の変化のみならず、日本人の生活の変化により、東洋的な草に愛着を覚える感性を失ったのかもしれない。もののあわれを感じとる感性が枯れているよう思われる。いかにも東洋的で日本的な葵は、上賀茂神社の神紋でもあり、また徳川家の家紋でもある。この草を復活させることの大切さを感じた。その思いを込めて萬晩報で訴えた。

10月10日の萬晩報「地球環境と葵」

http://www.yorozubp.com/0510/051010.htm

このコラムは9月に上賀茂神社の神官とお話をしながら考えたものである。そして先日。ワシントンに戻る朝、上賀茂神社の神官とお会いした。葵のプロジェクトが、芽生えてきたとのことをお聞きした。

この葵の復活のプロジェクトは、何百年単位で続くと感じる。

妙にハッピーになる。萬晩報のネットワークを通じ、

葵の大切さを共有したく思う。

そして葵の多年生の草を家で育てていただきたく思う。

以下は、上賀茂神社の冊子で紹介された文である。

双葉葵「ふたばあおい」。

ウマノスズクサ科の多年草。

山中の木陰に生え、茎は地をはい先端に二葉をつけます。

葉はほぼハート形。

五月頃、葉間に淡紅紫色の花を一個つけます。

京都上賀茂神社の神紋とされ

古くから多くの人々に親しまれています。

かつて神社のあたり一面に

緑色の絨毯を敷き詰めたように

広がっていたこの植物も

近年の環境の変化により

今は極わずかが裏山にあるだけです。

環境に敏感なこの植物の減少を

環境破壊に対するひとつの警笛と

わたちたち上賀茂神社は考えています。

この神社で双葉葵を見ていただくことが

皆様の身の回りの環境を考えられる

きっかけになればと考えています。
中野さんにメールは E-mail:tomokontomoko@msn.com