【トビリシに来たニーナ7】地図
執筆者:兵頭 ニーナ【ギターボーカリスト】
昨日、西の方へ散歩に行って俄然勇気が出た。今日は街の方へ向かい是が非でも本屋を探して地図を買おうと思った。12時出発、いつものプリ屋(パン屋)のひげちょびれのおじさんやその隣りのちっちゃな食品店のお兄さんが「今日は」とロシア語で挨拶してくれる。周りからはさっぱり分からないグルジア語の会話が聞こえてくるがロシア語で話しかけるとちゃんとロシア語で答えてくれる。ソ連邦の頃の第一国語としての教育のおかげだと思う。
そういえば昨日公園の帰り道、小学生くらいの女の子にグルジア語で話かけられ私がロシア語で分からないと言っても通じなかった。英語で「英語かロシア語わかる?」といったら「ロシア語は駄目、英語を少し話ます」と言う。時間が知りたかったらしく教えてあげるとサンキュウと答えた。
年を聞いたら12歳だって。ふーん独立したグルジアでは今やロシア語は高学年の選択科目かもしれないなーと思った。
今日は片側3車線(往復6車線)のチャウチャウワゼ大通りを東へ歩く。相変わらず人や車が多く排気ガスの匂いもきつい。ちょうどランチタイムらしく学校の前やベーカリーの前は人だらけで皆立ち食いをしてる。もっとも立ち食い歩き食いは老いも若きも着飾った人もごく普通でキオスクや路上で物を売ってる人は一日1、2回はそこで食事を済ませてるようだ。
口淋しいのかどうか知らないがひまわりの種を器用に食べてはぺっぺと黒い殻をそこいらに吐き捨てる人がいっぱいいる。いいのかなー。
古い建物が立ち並ぶこの辺はいわば表参道か青山通りのような高級商店街だそうだが、なある程どこかで見たようなブランド店やおしゃれなイタリアンオープンカフェもある。(ランチタイムだけど誰もいない)。通りを闊歩してる人達は実に姿勢が良くかつ特に女性はおしゃれだ。美人も多い。ひとりひとり自分はモデルがのごとく上手に着こなしスタスタと歩いて行く。何故だかサラリーマンスタイルの男性にはお目にかからない。オフィス街って何処なのかな。
街路樹もあるせっかくの広~い歩道は、あるところではその半分以上をも、せり出してきたレストランに占められ違反がありありと伺える。古い時代の権力者にさぞかしつかませたのだろうと・・・・・・。
犬もあるけば露店にあたる・・・程にここかしこに売店、露店がある。
だいぶ歩いた所で、立てかけた一枚の板に器用に本や新聞を並べて売ってるご婦人がいたのでトビリシ市の地図はありませんか?と聞いたらここからひと駅くらいのところに×××と言う本屋があるからそこで聞いてごらんなさい、ととてもやさしい。もう一度聞きなおして復唱していたが歩いているうちに忘れた。よく考えてみたら覚えていたってグルジア語の看板は読めないじゃない。それにひと駅って何の駅?バス?地下鉄?トロリーバス?まあいいか、
ゆっくり行こう。ペレストロイカまでの教育のおかげで70%ぐらいの人がロシア語を話せると聞いてたが街中の看板やネオンサインは殆どグルジア語だ。時おり並んで英語やロシア語があるとうれしくなる。
ぶらぶらいくうちやっと小さな本屋を見つけて入っていく。地図はあるかしらん?とあたりをざっと見回すと英語で三島由紀夫と書かれた本が二冊あった。へえーこんな所まで・・・と少し驚く。写真がいっぱいのトビリシ観光案内書20ラリ(1200円)の隣りにやっとお目当ての地図をみつけ10ラリ(600円)で買い求めた。
これで10日ぶりに自分の居場所もわかるしと本当にほっとした。
帰りはあてずっぽうに裏通りを歩いたが意外と店も多く、あまりにぎやかではなかったものの緑のトンネルがそのままアパートまで20分ぐらい続いた。
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