執筆者:伴 武澄【萬晩報主宰】

ネット・サーフィンもたまにはいいネタにぶつかる。大分合同新聞の7月1日に「きょうから本格運用/津久見市ADSL事業」という記事を見つけた。

ADSLをやるということはプロバイダー(接続業者)になるということである。世帯数8500の自治体が遂にという思いがした。残念なのはこういうニュースが県境を超えることなく地域に埋もってしまうだろうことである。

初期投資はたったの9300万円というのも驚いた。自治体の予算で出すので、あとは運用費だけである。市民に1450円(税込み・ADSLモデム、NTT回線使用料を除く)というとんでもない格安価格で最大24Mbpsの高速インターネットサービスを提供できるのだ。

自治体がプロバイダーに進出する効果は限りなく大きい。ADSLの場合、IP電話を導入すれば、市内の電話料金は完全無料となる。市内電話だけでない。市外も通話も市内料金並みとなる。市民の電話料金負担は格段に軽減される。

初期経費が9300万円だから世帯当たり1万円強でしかない。NTTの光ケーブルの敷設費14000円と比べてもとんでもなく安い。しかもそれを行政費の中でやってくれるのだから市民の負担はない。

全国の自治体は津久見市に見習うべきだ。この程度の負担だったら住民税に上乗せしてADSLとIP電話を行政サービス化することだって可能だ。料金の徴収費用を考えれば、その方がコストが安くなる可能性だってある。

大分合同によれば、津久見市は4月に試験運用を開始し、7月1日時点で約370件の利用申し込みがあった。本年度中に700件を目指しているということであるが、いずれ全世帯が加入することになるだろう。

インターネットと市内電話が無料の自治体が誕生なんてニュースが近い将来見られるかもしれない。萬晩報はそのむかし、「団地で自家発電するという真夏の夜の夢」

というコラムを書いた。その通信版が生まれたことに拍手を送りたい。

団地で自家発電するという真夏の夜の夢

http://www.yorozubp.com/9908/990823.htm