視点の提示、物語性、主観 情報文化2004秋号

 「晩報」の編集方針は、新たな視点の提示、読み応えのあるストーリー性、主観の尊重の3点です。これらは、現在のメディアの姿の裏返しであり、ネットを通じて発信しようとする多くの人に共通する問題意識ではないでしょうか。
 現状では、流されるニュースの多くが発表もの。そこには発表する側の主観が入っているし、それを選ぶメディアの主観も入っているのです。それなのに結果的に横並びの価値観による横並びの表現になっているため、あたかも客観的なように見えているだけなのです。
 そうしたあり方に対する挑戦は既存メディアの枠内でもできます。しかし私の経験から言っても、大きな組織でやりきるにはエネルギーもリスクも覚悟しなければなりません。
 個人で始めたこのサイトが広がりを見せたのは、読者から寄せられた感想からでした。その中にはレベルの高い物が多かった。それを載せるまでのこちらとのやりとり、さらには読者とのやりとりで、素人だった書き手が成長していったのです。
 大切なのは、課題、問題を提示していく姿勢、能力です。単なる感想のやりとりでは続きません。地域メディアの場合、読者との距離はもっと近いわけですから可能性は大きいのではないでしょうか。
 地域報道の現場にいて感じるのは、地域ニュースが県境を越えにくいということがあります。ささやかと思えるニュースでも、全国へ発信すべき価値を秘めていることもあります。各地の地域メディアが協力し合ってそうしたニュースを掘り起こしていくためにも、ネットは有効に使えるのではないでしょうか。
   (萬晩報ホームページアドレス https:/www.yorozubp.com/)

 新潟日報が編集している「情報文化」という冊子の編集者鈴木政二さんから、萬晩報のことを取材された。鈴木さんは環日本経済を取材中に知り合い、意気投合した仲間である。当時、共同通信社が47NEWS という地方紙との融合サイトを始めるとは思わなかった。翌年、初代編集長として47NEWSを率いることになるのは偶然ではない。僕の考えていた「県境を越える地域ニュースという発想が実現したのだから、天にも昇る気持ちだった。

伴武澄 について

新聞記者を定年退職後、高知市へ帰り、旧鏡村でシイタケとクレソンを栽培しながら、はりまや橋商店街で毎週金曜日に露天を商い、その夜に「夜学会」を開催するスーパーおじいさん。
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