読者の声】 自由と平和は取るべきものなり
執筆者:伴 武澄【萬晩報主宰】
【イラクに対する平和の声があってもいい】 倉澤
初めてメールを差し上げます。東京荒川区の倉澤です。「萬晩報」 の読者であり、中野さんのメールも拝見しています。
「イラク攻撃に反対する平和運動は、戦略や分析や理屈を越えた『平和を愛する』感性である。」とおっしゃれますと、返す言葉はございません。
平和を愛する気持ちは中野さんには負けるかもしれません。しかし、イラク攻撃に反対する「平和運動」はアメリカよ奢るな、アメリカがイラク攻撃をしなければ良いと言うことに力が注がれ、
イラク攻撃を止めさせるための、イラクに対して「国連決議違反を速やかに是正せよ」
と言う声がほとんど聞こえない気がするのですが?
数々の国連決議違反を繰り返しているイラクに対して、「平和の為に決断をしていただきたい」という「平和運動・デモ行進」もあって欲しいと思っております。
【強烈な発言で米外交の一石を!】 斎藤祥男
さて、「自由と平和は取るべきもの」(貴論稿)を拝読しました。世界のうねりが「反戦」へ傾いている中で、アメリカの世論は60%超が「イラク進攻賛成」のようですが、9・11テロを境にして、アメリカ人の感性も変わってきたのでは・・・・・・・・という気がします。それは、感性というより、「今でも起きるテロへの危機感」を身近に感じるようになった感覚からでしょう。
国内世論と国際世論の相克の中で、アメリカの決断が注目されています。
(1)「イラクが大量破壊(殺戮)兵器=細菌兵器をバグダッドの地下トンネルに準備している」という、イラクの原子物理学者Dr.Hussein Shahristaniがバグダッド在住の同僚科学者から得た情報をCBSインタービューで答えていますが(CBS、Feb.21)、これはアメリカが未だ切っていないカードとしてインパクトがあるでしょうね!。
(2)同時に、仏、独、ロなどが、国連に提出する代替案に影響を与えるでしょう(当然、従来の主張より軟化せざるを得ないのではないでしょうか?)
アメリカのイラク進攻作戦は、陸上戦になれば大量のイラク民間人の死傷者をだすことになりましょう。過去の歴史からみて、対日戦争における原子爆弾使用による大量民間人の殺戮、朝鮮戦争(これはまだしも)、ベトナム戦争など、アメリカの正義は「アメリカ人の正義」であって、「生あるものは生きる権利を神から付与されている」という自然法則に照らしたとき、「神への罪を犯す」ことにならないだろうか? このたびも又、アメリカは無辜の民への大量殺人を惹き起こす戦争の仕掛け人に敢えてなろうとしている。
では、それにかわる代替案はあるかと言えば、武力による圧力を掛けつつ、強硬な態度での交渉(対話)しかない。当事者にとっては極めて苦渋の境地にあることも判るが・・・・・・。中野さん、強烈な発言をもってアメリカの外交界に一石を投じて下さい!
【私も同じテーマについてで書いてみました】 中澤英雄
初めまして。中澤というものですが、萬晩報でいつも中野様の論説を楽しみに拝読させていただいております。中野様はしばらく前に、スペースシャトル事故についてお書きになっておられましたが、私も同じテーマについてより詳しく書いてみました。
Webでは「宇宙からのメッセージに耳を傾けよ――スペースシャトル事故と迫り来るイラク攻撃」にアップされております。
日本語: http://thank-water.net/japanese/index.html 「皆さまからの投稿」
英語: http://thank-water.net/english/index.html 「Articles from You」
こういう見方をする日本人がいるということをアメリカ人にも知ってもらいたいと思い、たいへん僭越ですが、英文も添付させていただきました。
【ニュースの氾濫と欺瞞・二枚舌外交にうんざり】 村井
中野さま。前略、イラクを米国が戦を起こすかどうか、日本のマスコミは反戦=平和の図式で声高に叫ばれています。果たして一方的に米国が悪いのでしょうか?もう世界中の平和愛好者は、フセインがクウェートへ突然襲ったのを忘れたのでしょうか? やられたクウェートはお金が有るから泣き寝入りで、納得しているのでしょうか?この時、クウェートの多くの市民が犠牲になったのではないでしょうか?イラクは反省したのでしょうか?指導者が変わりましたか? その後国内では、多くの市民が、秘密警察によって虐待を受け、死に至ったケースが沢山有ったのではないですか。
貿易の関係者は特にやられたようです。国連の制裁を受けて、イラクの対外資産を凍結した事で貿易の代金をまだ受け取っていない多くの中小商社が居ます。この国の政府は、輸出保険制度がある事を理由に、肩代わりを拒んでいますが、大手の商社などには、適用した経緯があります。
今回の反戦運動が、とんでもない指導者のフセインとその取り巻きの延命を図っているなんて、考えただけでもうんざりします。社会主義国で世襲が行われていても、疑問の声すら上げられない隣国といい、それに比べれば、何百倍もマトモな米国を、よってたかって非難したって、わが身は安全です。この事は米国デモ隊には、特に知ってもらいたいと思います。
米国だって自国のルールを勝手に押しつけてグローバルスタンダードも無いですが、それでも、イラクやイランや北朝鮮よりは、何百倍もマシです。今、戦後を一番恐れているのは、サウド家のアラビアでしょう。何セ、議会も無い100年は政治体制が遅れた国ですから。それにしても神は、なんという贈り物を与えたのでしょう。多分石油が出なければ、もっと政治体制が変わっていたでしょうに。最近の反戦でもニュースの氾濫と、ドイツとフランス・ロシア・中国の欺瞞と、外務省の邦文/英文の意識的2枚舌にうんざりしている。
【分かりやすいタクシー運転手の話】 大西広
萬晩報よみました.中野さんの悩みよく伝わってきます.タクシーの運転手の話がより分かりやすいというのが印象的です.私はこの問題を「素人の方がよい」ということなのか「別の文明観をもっていることの良さ」なのか、少しじっくり考えて見てもよいのではないかと思っています.両方である可能性もありますが、後者の面を個人的にはやはり重視したいですね.つまり、文明論のレベルでの議論が必要かと・・・。
【イラク政権の圧制に苦しむ人達の問題は?】 小西
ご意見拝見しました。貴方のような立場を取る人達に是非聞いてみたい事があります。2月26日の毎日新聞4ページ、「記者の目」欄をご覧下さい。
この中では、貴方とは逆の立場を取る人たちのことを書いてあります。平和的解決は誰しも願うところですが、イラク政権の圧制に苦しむ人達の問題をどう解決していくのかのご見解をお聞きしたい。
記事中にもありますが、「今、自分達(戦争反対を叫ぶ人たち)だけが平和であれば」という身勝手な考えがないかという問いかけには、どう答えますか。ソ連の圧制下にあった東欧の人達は、このままよりむしろ戦争の犠牲になったほうがましだというほどの苦しみを味わっていたのです。
戦争の犠牲者も多いかも知れませんが、独裁政権の圧制下で苦しむ人たちのほうが圧倒的に多いのでは?
身近な問題に置き換えてみれば、いじめをする人を殴って制裁しようとするのを、暴力はいけないと止めているのと同じではないでしょうか。止めるなら、際限なくいじめられる人たちをどう救うかという解決策がなければならないと思います。自分はいじめられないから、暴力反対を叫んでいればよい子ですみますね。
国会の議論でもそうですが、自説を主張する場合、反対者の問題提起には触れないで、自説ばかりを強調する傾向があります。だから、議論が噛み合わず、真の議論にならない場合が多いです。是非、ご意見を拝聴いたしたく。
【変数が多すぎる“平和のため”の概念】 仙北谷(せんぼくや)満昭
中野様。“自由と平和は取るべきものなり”を拝読させていただきました。
戦争は何かを達成するための“手段”であり、“平和”や“自由”は人類にとって達成すべき“理想の状態”であると思われます。アメリカの主張する“フセイン退治”の方法に関して、ドイツやフランス等は“戦争は最終的手段”であると言っています。つまり西欧諸国は、フセインが“世界の平和”にとって有害分子であるとの認識では一致しているのだと思います。ようするにフセインや金正日は、安穏と平和を希求する世界にとって、一国内におけるマフィアか暴力団の親分という位置付けであり、西欧諸国はフセインに“悪党”というレーベルを貼り付けたということになります。
ところでアメリカの政権に大きな影響力をもっているのが“グローバリスト”と呼ばれる一群の人たちであり、その中にはヨーロッパ財閥と脈絡をもつ“ニューヨーク・マネー”があり、ユダヤ系学者軍団がいると何かで読んだことがあります。ユダヤといいますと、パレスチナを占拠し、アラブ諸国に容赦なく銃砲を向けるイスラエルです。そうして、目下、イスラエルにとって最大の脅威はイラクとイランであるように思われます。善悪の判断基準が宗教であるとするなら、イスラエルにとっては、この世から抹殺しなければならない悪はイラクとイランだということになるのかもしれません。イスラエルが強大な軍事力をもち、世界の覇権国アメリカの後押しを受けているかぎり、パレスチナ人には“戦争反対=平和”はありえないかもしれません。
フランスは世界の反対を押し切ってまで地下核実験を行いました。軍備は外交にとっても不可欠のオプションなのかもしれません。3700億ドル(約45兆円:2003会計年度) という米国の膨大な軍事費に較べ、イラクのそれは米国の0.4%にしか過ぎません。日本がそうであったように、勝敗は火を見るよりあきらかです。にもかかわらず、“アメリカ憎し”に固執するフセインはアメリカの武力圧力によってしぶしぶ内懐の一部を外部に開きながらも、アメリカに向かって吠え続けることを止めようとはしていません。そうして、アメリカもフセインもそれぞれの正義を標榜しています。
一方、多民族国家イラクでは、フセインの迫害を逃れ、或いはフセインによってイラクから追い出された多くの少数民族は、ブッシュによる“フセイン退治”を心待ちにしているとも読んだことがあります。
私には、おそらくこれから始まるであろうと思われるアメリカの“フセイン退治”という“戦争”が、たんに“平和のため”という概念でくくるにはあまりにも変数が多すぎるように思われて仕方がありません。
【これを抑えないと北東アジア構想も水泡に帰す】 武次
その通りとうれしく思います。しかし、貴方がアメリカに行ったのはこの事態を想定していかれたのではありませんか。平和を勝ち取るのに何ができるか。これを抑えないと北朝鮮のこと北東アジアのグランドデザインも水泡に帰す。何とかアメリカのシンクタンクに再考を平成の竜馬に期待します。
【孤立化の一途をたどるブッシュ政権】 古賀 知美 (Tomconks)
ブッシュ政権の一国一強主義の短絡的・強行的な政策は、世界の住民である多数の人々の思いから孤立する方向を選択し続け、悲しいかな後戻りできない状態に、自ら知ってか知らずか陥っている感が私には致します。
世界から孤立の一途をたどり、それでも国家(政権)としての形態を保ち続けるために、自らの体制に固執し、理性を完全に取り払って頑なに自分の主張のみを叫び続ける...
このような権力又は政治体制の流れは、恐らく、北朝鮮やイラクで他の選択肢の無い中で取られている状態かと思いますが、これこそ、現在のブッシュ共和党政権が取っているあまりにも危険なながれでもあるのではと私は恐れます。
米国内でも最大級の反戦デモが沸き起こり、欧州や英国の民衆のみならず、やっと米国民ですらテロに対する戦争・対イラク侵攻について、疑問視し始めましたが、現在では、もしかしたらもう、その声は何処にも届かない所まで来ているような空恐ろしさを感じます。
先日(昨日でしたか...)、ブレア首相が米英主導で作成した国連への次なる提案書を英国会で無理やり決議させ、この文書を持って、足早に護衛のついた車で、逃げ去るように走り去った場面を見ると、どうしても、圧倒的多数による自由と平和への純粋なる思いは、利権主義、一強主義、帝国主義の圧倒的軍事力にはかなわないのか...?!
と、不安な気持ちにさせられます。
こちら英国のニュース番組に招かれる米側の専門家達は、ブレアは、前の世界大戦時のチャーチルのように偉大で勇気のある決断をしている。等と、美辞麗句を並べています。 イラク侵攻に始まる、暴発の本当の意義も民衆に説明しない状態で、ブレアは偉大なリーダー、チャーチルの再来だ。と語気荒くまくし立てるこれらの米から招かれた専門家達の言葉に一層不安に駆られ、さらに、裏にどんな思惑があるにせよ、この米英の暴発を、諌めようとする仏・独を恩知らず・裏切り者、とののしる、米メジャーメディアの真意もこの流れに乗って米国民の中で、”フレンチフライ”を”フリーダムフライ”と呼び変えようなどとする人がいると聞くと、冗談と言うより、一層、空恐ろしくなります。
一体この政権で、米国は何処へ行くつもりなのでしょう?
様々に無理矢理な理由付けによって、米英政府単独のイラク攻撃をきっかけにし、圧倒的軍事を持つ一国の決定のみによって、他の国についても、簡単に侵攻できてしまう環境を作るべきでは無いはずだと私は思います。
恐らく、今の状態では、米国内それも、シンクタンクと言う、ある種心臓部にいらっしゃるがために、よく見えなくなる事もあるかとも思いますが、そのような過酷な状況下でも、平和への声を枯らす事無く、頑張って下さい。
草々。萬晩報一読者。