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萬晩報始まって以来のつまらない選挙だ

2004年06月24日(木)
萬晩報主宰 伴 武澄

 きょう24日、参院選が公示された。投票日は7月11日であるが、みなさんはどんな思いで公示日を迎えたのでしょうか。筆者自身はどうも燃えるものがない。

 三重県で言えば、一応、自民の津田健児と民主の芝博一が立候補している。両陣営の勢力は拮抗し、一応激戦区の一つに数えられているため、小泉首相も岡田代表も応援にやってくる予定になっている。しかし両候補とも県議上がり。選挙民を鼓舞する熱情に訴えるわけではない。毛並みがいいわけでもない。いかんせんタマが悪い。

 このことは多かれ少なかれ多くの選挙区でも同じなのではないかと思う。自分の一票で世の中が変わるかもしれないという予感があれば少々候補者が悪くとも選挙はおもしろくなるものなのだ。

 しかし今回の参院選には争点すらないのではないかと思えてきた。年金は確かに国民の関心事なのだが、多くの議員の不払いや未加入が発覚して議論が本質から放れてしまった。イラク問題では、国連安保理が新しい決議を通したことで争点がなくなってしまった。ここ5、6年必ず議論になっていた景気ははからずも回復軌道に乗り争点の俎上にも上ってこない始末である。

 数日前から職場の同僚と議論していくつかのことに気付いた。まず改革路線である。小泉首相が改革を主張し始めてからというもの、野党の主張をどんどんと政策に取り込んでいくものだから、野党側の主張に迫力がなくなった。それから、自民党に名脇役がいなくなった。悪役といってもいい。

 金丸信は亡くなり、野中は土俵を去った。田中真紀子は新潟では夫のために頑張っているかもしれないが、もはや全国区ではない。鈴木宗男は逮捕されてからぶりっ子に転じ、青木幹雄も鳴りをひそめたままである。

 とにかく自民党の外野席がだんまりを決め込んでいるのだ。

 政治をおもしろくするにはヒーローと悪役が必要なのだ。悪役がいないからヒーローのはずの小泉首相もまた張りをなくしているのかもしれない。

 忘れていたのはメディア側である。ニュースステーションの久米宏はどこに行ってしまったのだろうか。意図的に自民党に抗するキャスターの存在も実は選挙に不可欠だったのである。

 参議院を良識の府だとかいうが、選挙区、比例区の立候補者名簿を端から眺めてみるがいい。20人も名前を知っていれば御の字だ。

 そもそも政党側、与野党ともにいえることだが人材を発掘しようと努力した形跡がまったくない。選挙はそもそも人に投票するもの。第一声で「ストップ・ザ・小泉」を声高に叫んだ岡田民主党代表はシャドーキャビネットの閣僚級の人材を発掘して「こういうメンバーで戦います」と訴えるべきだったのである。

 自民党に抵抗勢力がなくなったことで、小泉首相を「じゅんちゃん」と慕う女学生もいなくなった。小泉首相はもはやスターでなくなったのかもしれない。

 先週、EU議会の選挙があった。40%台の投票率だとかで、イギリスでは独立党が躍進して労働党が大幅に議席を減らしたことが話題になった。2年前のユーロ導入に次いで、ヨーロッパではEU憲法を制定しようという段階まできている。国権の制限を議論しようとしているのだ。

 一週間スコットランドに逍遥して思ったことは戦後の日本は国境を越えた議論をあまりにも避けてきたということである。ASEANは経済統合に向かおうとしている。中国は台湾問題がある。韓国は北朝鮮をどうするか頭が痛いに違いない。

 本来ならば、日本が東アジアの経済統合や安全保障問題でリーダーシップをとらなければならない立場にあるはずだ。政治家は日本だけに目を向けず、世界を語らなければならない。今日の公示日に当たって世界を語った立候補者がいただろうか。小泉さんも岡田さんも狭い国土のことばかりしか語らなかった。

 あーつまらない! こんな選挙は萬晩報始まって以来だ!


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